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転校-08 [飯山美里-02]

安藤さんは色々な話をしてくれる、大学の研究って楽しそう。
あれ? ちょっと雰囲気が…、表情が変わった…。

「話は変わるけどさ、美里さんに少しお願いが有るんだけど。」
「はい。」
「年明けから、ここへは色々な人が来る事になる、君のお父さんの仕事関連だったり、ボランティア関係だったりね。」
「過疎地を賑やかに、ですか?」
「うん、その関係でね、その時に子どもを連れて来る人もいると思う、でね、もし一緒に来た子と話す機会が有ったら、ここの事をきちんと、良い所も悪い所も教えてあげて欲しいのだけど、どうかな。」
「それくらいなら…、まだ私自身がここの事分かっていませんが。」
「それも正直に伝えてくれたら良いよ。」
「それでお役に立てるかどうかは分かりませんけど。」
「変に私達の役に立とうと思わず、正直に接してくれる事が彼らにとって一番だと思ってる。」
「えっ? 何か大切な事みたいな。」
「いや、ただ話す機会が有ったらという程度の事だから…。」
「隆二、もっときちんとお話しして、お願いさせて頂いた方が良いかもよ。
美里さんのお母さまがお書きになったブログに、娘は過疎の問題を調べ始めましたってあったわ。
美里さんは、もうここと真面目に向き合って行こうって考えてるのでしょ。」
「はい。」
「そうか、御免、美里さん、ちょっと考え過ぎて話を分かりにくくしていたかもしれない。
これからここを訪れる人達の中には、美里さん達の様にここへ移り住む人も出て来ると思うんだ、ただね大人達は事情を分かっていても子ども達は、特に美里さんと年齢の近い子達は戸惑う事も多いと思ってね、自分達にとって小学生移住者第一号の君に協力して貰えないかと思うのだけどどうかな。」
「え~っと…、という事は私達の仲間が増えるかもしれないという事ですね。」
「簡単には行かないだろうし、都会が恋しくなる子も出て来るだろうけどね。」
「そういう事なら協力します。」
「有難う助かるよ、お礼は何が良いかな?」
「美里さん、ここに何が有ったら良いと思う?」
「え~、なんだろう…、さっき赤木さんが高校の話してたけど…、前には高校の分校がここにも有ったそうだけど。」
「高校か…、面白いかもしれないな、佐々木も乗ってきそうだ、う~ん時間も掛かるだろうから、よし美里さんが高校へ上がるまでを目標にここに高校を作ろう、校名は美里高校でも良いけどどう?」
「そ、それはちょっと…。」
「はは、でもこの事はさっきのお願いとは別だから、変なプレッシャーを感じないでね、過疎化の真逆を考えての事だから。」
「はい…。」

高校って簡単に作れるものなのかな、なくなっちゃうぐらいなのに。
でも、転校して来る子が増えたら、麻紀ちゃん達も喜んでくれると思う。
みんなにも協力して貰えるかな…。
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