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転居-04 [飯山美里-01]

父さんは森の写真を撮ってるけど、あまり綺麗な森じゃないわね、公園じゃないから整備されてないって事かな。

「父さん、こんな森、綺麗に撮れてるの?」
「いや記録写真だからね、美里はこの森どう見る?」
「どうって…、え~と植林だよね。」
「ああ、ヒノキの植林地、ここが父さん達の一つの挑戦の場になるんだ。」
「何か荒れた感じがするけど。」
「そうなんだ、このままだと立派な木にならない、木と木の間が狭すぎてね。
だから仲間たちと間伐という事を行う、細めの木を倒してもっとすっきりさせるんだ、で、ついでと言っては何だが、足元も綺麗にして森林浴…、ここは坂がそんなに急じゃないだろ、だからここに散歩道を整備して森林浴スポットにしようという案も出ているよ。」
「観光?」
「いや、特にそれを狙ってる訳じゃないけどね。」
「随分広いけど、何時完成するの?」
「どうかな…、手伝って下さる方次第になるのかな…、まあ完成させる、というより少しずつ綺麗な森にして行きたいのだけどね。」
「ここの枝とかをストーブで燃やすのね。」
「まあそうだね、ただ蒔としては違う種類の木の方が良いみたいでね、ゆっくり燃えてくれないと蒔をくべる手間ばかり掛かってしまうだろ。
まあ、とりあえずこの冬の分は分けて貰う事になってる、でもこの先燃料として色々な形で木を使う事を考えているんだ。」
「灯油じゃだめなの?」
「だめではないが、遠い国から燃料を使って船で運んできて、さらにここまで自動車を使って運んで来る事を考えたらどうかな。」
「木が灯油の代わりなの?」
「別な見方をすると、昔は木を燃料にしてたのを灯油に代えた、便利だからね、でも…。」
「でも?」
「そこからは美里にも考えて欲しいな。」
「なんか難しそうね。」
「すぐ答えを出す必要はない、答えは中学生になってからで良い、森の事を知って考えて…、越して来たら毎日森を見る事になるだろからね。」

森か、今まで窓から見えるのは沢山の家だった、それが森になるんだ…。
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