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事業展開-16 [安藤優-10]

その夜、優に同行して来た秘書の川北は上杉と話していた。

「上杉さん、彼らの態度は社員教育の賜物という事ですか?」
「そうですね、それも多少は有りますが、彼等にとっては好条件で雇って貰ってる訳ですからね、入社したての給料こそ地元の標準に合わせていますが、力の有る人は毎月給料が増えてます、特別な教育をしなくても彼等にとって安藤チーフは特別な存在なんですよ。
彼等はこの工場が他とは違うという事を始めから理解していますが、なぜこれだけの好条件なのかは分からない訳で、色々質問してくれます、特に幹部候補の連中は他の工場の事を知っているからか熱心です。
桜根グループの基本理念を話したら驚かれましたね、まず働く人の生活を良くする事、それが大切なんだと伝えたら、そんな会社聞いた事がないと言ってました、色々話して行く内に彼等の目の色が変わって行きましたよ。
働かされるのでは無く、自分達で会社を作って行くという事を理解してからは、それまでも真面目だったのですが、さらに熱心に動いてくれる様になりました。
その過程で、この工場にどれだけの初期投資をして、従業員の生活を向上させながら、少しづつ回収し、それを元にさらなる事業拡大をこの国で進めて行くといった経済の話もしています。」
「それが充分理解されているから、うちの社長があれだけ歓迎されたのですね。」
「はは、それも有りますが、ここでは完全にアイドルですからね。
それと彼等には安藤CEOの年収の話もしています、グループ企業の規模、利益の大きさを考えたら、何十億でもおかしく無いのに、二千万円ぐらいだと話したら、彼等でも大きな企業のCEOの年収は聞いた事が有った様で驚いていましたよ、生活して行くのに億の金はいらないとの理由でCEO自らが決めていると話したら、社長とかって金の亡者ばかりだと思っていたが、そんな人ばかりではないのかと、後は自分達でも色々調べたそうです。
食堂に安藤CEOと安藤チーフの写真を飾ったのは彼等の心の表れでしょうね。」
「安藤親子のファンがここでも着実に増えているという事ですね。」
「はい。」
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