SSブログ

事業展開-15 [安藤優-10]

新店舗のオープニングセレモニーや映画撮影の間を縫って、優達は工場の視察に飛んだ。
出迎えた、工場責任者の上杉と。

「上杉さん、ここでは随分広い土地を確保したそうですが。」
「はい、土地は、新工場建設や職業訓練のお礼にと、まあ、荒れた所を押し付けられた様なものですから費用はあまりかかっていません、農業と工業のバランスを取りながら、桜根実験コロニーほどの規模までには行かないまでもこの地の拠点にすべく、ここの若者達と将来図を描いています。」
「ここの社員達はどうです?」
「真面目な人が多くて助かっています、他のチームではマイペースな人が多くて進行が遅いそうですから。」
「はは、国民性が出てる訳ですね。」
「リーダーの力量も大きく影響していると思います、ここのリーダーはとても熱心で皆に慕われています、町で働いたのにこのプロジェクトを知って戻って来てくれたそうで、近い将来、ここを任せたい人物です。」
「それは頼もしいですね、お会いしたいです。」
「もちろんです、幹部候補達とお食事の席を用意しています。」

工場では現地社員達が、優達を並んで歓迎。

「えっ、すごい歓迎ですが工場は動いているのですか?」
「尊敬する社長が来て下さるのに、それをきちんと歓迎しなくてどうするんだと言われましてね、無理に工場を動かしてもトラブルになりそうでしたので今日はあきらめました、女の子達はチーフに会える事が嬉しくて、もう何も手につかないという感じですよ。」

屋外での歓迎会は民族衣装を着た人達の踊りや歌、その合間に歓迎の言葉と続く。
優が感謝の言葉を述べると会場はさらに盛り上がる。
その後食事会、優が部屋へ入ると待っていた人達は緊張の面持ちで直立不動の姿勢をとり迎える。
優はリラックスさせる様に試みるが失敗に終わった。
それでも、現地従業員達は自分達の思いを優に伝える事が出来た。

「上杉さん、あんなに感謝されるとは思ってもいなかったですよ。」
「彼らは感謝の気持ちがチーフに届いてなかったらどうしようって話してましたよ。
ここに大きな投資をする人なんて今まで居なかったでしょうし、職業訓練だけでなく子ども達の教育環境を整えたり、工場の建設に伴って周辺環境を整理したり、そんな会社のトップな訳ですからチーフは王か神かというレベルですよ、さらにテレビでもショーにお出になるだけでなく、ここの事も話しておられましたから、連中は完全に舞い上がってました。」
「はは、確かに皆さん半端なく緊張してみえましたね。」
「彼らの今後はチーフが握っておられるようなものですから。」
「この工場はあなた方のものだと思って下さいとは話したけど、早く本当の意味で彼等の物にしたいですね、その為の社員教育よろしくお願いしますね。」
「はい、さらに広げて王国を拡大していきますよ、皆に喜んで頂ける、桜根の王国を。」
「はは、せめて共和国にしませんか。」
コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。