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事業展開-13 [安藤優-10]

七月、株式会社つぼみの海外展開プロジェクトは試行錯誤しながらも進んでいた。

「島津さん、現時点での状況はどうです、四か国に於ける僻地と首都での二拠点での足場作り計画は。」
「安藤チーフ、正直言ってまだまだ難しい所です、衣料品工場関係は各チーム苦労しながらも、国内の姉妹工場からの支援の目途が立ち始めていますので、設備が整って現地社員の教育が順調に進めば形が整うといったところです。
ただし、ここから順調に進む確率が日本と比べてかなり低いと考えて下さい、現地のメンバーにも気を付ける様に話しています。」
「なるほど、まあ工場の方は時間が掛かる事を前提としていますから、少しずつ社員教育をしていくしかないでしょうね。」
「早く売り上げ実績を上げたいと考えて動いている直営店の方は、各国の首都に場所の確保は出来ました。
桜根本社サイドも、世界中の主要都市に店舗展開という案に乗り気になって下さいまして、四か国以外もつぼみ主導でチームを組むという方向で動き始めています。」
「島津さん、店舗展開は今までの桜根グループを考えたら遅いと思いませんか、通販が広がっているとはいえ、実店舗は桜根のシンボルとなります、充分な利益を確保出来る事業ですよね、それが今までは工場に併設の店舗のみで、各国の市場を意識したものも展開出来たと思うのですが。」
「はい、私もそう思います、そこに目を向ける部署が無かったのでしょう、でも遅れた結果として我々の事業展開が有利になりました。
これからの店舗展開で得た利益で、僻地の工場を拡充し職業訓練校を充実させるという形に持ち込めそうです。」
「確かに、その意味では楽にはなりますね、工場は初期投資の回収に時間が掛かりそうな所をあえて選びましたから。」
「それでも、長い目で見たら企業イメージアップになるだけでなく、色々な面で多くの人に喜んで頂ける事業展開だと思います、一国二拠点でのスタートはバランス良く行けると思います。
まず、直営店第一号はこの秋にも開店の方向で…、チーフ、オープニングセレモニーには出て頂けますか?」
「そうですね、行きますよ、頑張って宣伝しないといけませんからね、映画の撮影を兼ねる形に出来ると効率的なのですが。」
「では、その方向でスケジュール調整をお願いしておきます。」
「海外展開の店名、ブランド名はどうします? 統一したいと思いますが。」
「私としては、You&優が良いと思っています、安藤チーフは桜根のプリンス、それを前面に出す事は桜根のイメージ戦略に大きなプラスになると思います、&優が安藤優からという事も表に出して行きたいです。
まさに桜根グループのプリンスとして世界展開へ乗り出すという感じで、映画よりドラマチックになる様、演出も考えて行きますよ、王国のプリンセスとデートとかどうですか?」
「今まで社長の息子という立場を、真面目に演じては来ましたが…、プリンスですか…、ちょっと友達と相談かな。」
「特別に考える必要はないです、今まで通りで充分プリンスですから。」
「自分としては…、プリンスというと飾り物の様な気がしまして…。」
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