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社長-14 [安藤優-06]

三日後、木下は坂本の会社を訪問し社長や重役に今後の流れを説明する、その場で一人の重役が。

「木下さん、そうすると正式な契約書を来週取り交わし、そのまま安藤優社長がこちらのオフィスや工場を視察されるという事ですが、性急過ぎませんか。」
「そうですか? うちの社長によれば、停滞している企業は、弾みを付ける意味でも短期間の内に目に見える良い変化を示し勢いをつけるべきと考えているのですが。」
「成程…、ですが、出来れば少年社長に実績を持たせるべく裏で動いておられる大人の方と、直接お話をしたいのですが、いえ、桜根の企業再生の実績は存じておりますから心配はしていませんが。」
「そうですね、社長の視察後にでも席を設けますよ。」
「前にという訳には行きませんか? シンボルに安藤社長のご子息を置かれている、桜根内でも異質な企業ですから。」
「だからこそです、私も桜根本社勤務の頃は多くの企業再生に携わりましたが、その自分でも気付かない様な、より効果的と思われる提案をすでに色々聞かされた上で、成功を確信してこの場にいます、もし我が社で充分な事が出来ないようでしたら桜根本社を動かしますよ、それぐらいの権限は持ってますので。」
「そ、そうですか、ではそのお言葉を信じるしかないですね。」

スムーズにとは行かなかったが坂本社長の意向も有り契約の話はまとまった。
その夜、木下は坂本社長と会っていた。

「社長、常務の辺りにネックが有りそうですね。」
「ええ、私も今日の話で確信しました、ただ、ここからどうするかは簡単では有りません。」
「でしょうね、常務二人が対立しつつ坂本社長をけん制してる構図はうちの社長にも伝えておきます。」
「話の途中で少年社長の裏に大人が、と出た時、否定されませんでしたね。」
「説明するより、実際に見て頂いた方が早いですからね、私が社長からの指示に沿って動いていると話しても信じないでしょう、社長の本当のすごさは下で働いている我々にしか分からないと思います。
桜根での実績を買われてつぼみへ移籍しましたが、話に聞いてたレベルをはるかに越していましたから。」
「そんなお話を聞くとわくわくしますな。」
「ええ、うちの社長から次は何が出て来るか、私も楽しんでいますよ、もっとも自分で社長に説明する時は緊張しますがね、そんな緊張感を味わえば常務達も大人しくなりますよ。」
「だと、良いが。」
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