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五年後-10 [チーム桜-12]

夜、家の離れで佐々木と安藤。

「のんびり出来て、何かチーム桜スタートの頃が嘘みたいだな、安藤。」
「ああ、あれから何年だ、あの頃は自分達がとにかく動かなくては行けなかったな、でも佐々木が政界入りすると、また忙しくなって、今までみたいには会えなくなるのか。」
「毎週金曜日とはいかなくなるな、でもあまりあくせくしてては良い仕事が出来ないと思うから時間は作るよ、俺達の仕事って、一人で考え事してる時なんか、傍から見たら、ただぼーっとしてるだけだろ。」
「まあな、俺は優と遊びながら仕事してる時も有るし…、どうだ新党の感触は。」
「安藤が財界へ一石投じたから、今度は俺の番、何としても結果を出したいと思っているが、皆よくやってくれてる、油断は禁物だが最低でも野党第一党にはなると思う、今までの積み重ねが有るし、チーム桜の規模を考えたらな、それだけに期待と不安で…。」
「佐々木でも不安に思う事有るんだ。」
「はは、当たり前だろ。」
「チーム桜も巨大なボランティアサークルみたいな形で固まってきたから選挙もかなり手伝って頂けるんじゃないか。」
「まあな、社会福祉、教育といった分野はチーム桜が支えてくれる、経済活動は…、桜根はどうだ?」
「俺は恨まれてるだろうな、給料が良くて働きやすい職場を作ってるから、当然優秀な人が集まってくる、その分業績も上がる、今まで人件費を押さえる事に気を取られて貧富の格差を生み出してきた様な企業ではついてこれないみたいだ、下請けに無理を押し付けていた会社の中には、下請けの多くがうちの傘下に入って別会社と契約を結んだら、会社が回らなくなってきてる所も有るそうだ。」
「杉浦社長のとことの合併話が広がったらさらに恨まれるぞ。」
「はは。」
「でも、今後も中小企業を傘下に入れていくんだろ?」
「ああ、もちろんだ、従業員十人の会社も一万人の会社も桜根の傘下なら同等だよ。」
「今も増え続けているのか…。」
「世代交代がうまく行かなかったり、今まで作ってきた物が売れなくなったり、理由は様々だがな、最近はぎりぎりまで粘らずに桜根傘下入りを打診してくるケースも増えている、まあ今の所は順調だ、海外からの問い合わせも有って検討中さ、杉浦社長の所の海外営業所を中核に据えての事業展開となるかもしれない、で、輸出と輸入の額のバランスを考えている。」
「円高時と円安時に対応する訳だな。」
「ああ、一つの部門が落ち込んでも他でカバーして行く体制なら安心感が有るだろ。」
「海外からもチーム桜に登録する人が増え始めているから、桜根の海外事業と絡めていけると面白いかもしれないな。」
「優が大人になる頃にチーム桜がどうなっているかだ。」
「彼を国際交流のシンボルにしたいけど、もう少し大きくなってからお願いしてみるかな。」
「全然違う分野に興味を持ったらそれはそれで面白いとは思っているのだが。」
「例えば?」
「理系で研究者とか芸術家とか。」
「本人の意思を尊重という事なんだな。」
「ちょっと変わった環境で育てているから、どの道を選んでも平凡には生きられないだろうが。」
「俺にも責任が有るからどんな道を選んでも後押しするよ。」
「おお、頼む、まあ優だけでなく俺達の後継者も育てて行く必要は有るがな。」
「そうだな、俺達の挑戦に終わりはない、というより、また新たな挑戦が始まるんだよな。」
「もう一度気合いを入れ直すか。」
「そうだな、初心に返って挨拶回りをしてた頃を思い出してか…。」
「チーム桜に。」
「チーム桜に、乾杯。」
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