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調査部-10 [チーム桜-08]

桜根オフィス。

「佐々木代表、チーム桜としては良い事なのしれませんが、調査部にとってはいささか…。」
「どうされました?」
「先日、障害者雇用に向けての調査をしたじゃないですか。」
「あれですか、詳しく調べて下さって助かっています。」
「ただ、調査に当たったメンバーが何人も障害者雇用研究チームに移籍しまして…。」
「あそこも人が足りてなかったから、喜んでいたよ。」
「一般調査員だけなら問題ないのですが、スタッフクラスの移籍は痛手でなんです。」
「そう言われると確かに、でも調査という事は比較的取っ付き易い事ですから、申し訳ないけどチーム桜の活動の入り口と考えて頂けませんか、あの調査に当たって下さった方々も始めは障害者雇用の実態を知らなかったと思うのです、調査を通してボランティアを必要としている所に人が流れて下されば、チーム桜もより強固になって行くと思います。」
「そうですね…、うちは常に増員をして行かないとだめって事ですか。」
「お願いします…、でも今回の中学校調査は調査部の被害は少なく済みそうですよね。」
「いえ、調査部スタッフにと狙ってた子が…、調査員はともかく幹部スタッフを育てるには時間も掛かりますから、それなりに優秀な子が欲しいのです。」
「分かりました、対策を考えてみます。」
「お願いします。」
「ところで、その中学校調査の方はどうです?」
「花井さん達がんばってくれてます、報告によると緒方くんは一人の生徒とかなり親密な関係を築きつつ有るそうで、すでに調査の領域を越えています、通常の調査では有ってはならない事ですけど。」
「うん、良い傾向だな。」
「ただ、その中学生が実家を離れて寮とかで暮らせないかとの打診が有りました、さすがにこちらでは何とも出来ません。」
「えっ、そういうレベルなのか…、それは調査部の範疇じゃないな…、チーム桜奨学生サポーターチームとは連絡取りましたか?」
「いえ、まだです、もう動き始めてるのですか?」
「微妙だが、今から動かす、緒方くん達からの情報をこちらへ送って下さい。」
「はい。」
「対象となってる生徒の情報は…、しばらくの間この件に関する情報はすべて私の方に流して下さい、緒方くんとも直接連絡を取りたいのですが。」
「はい、すぐ連絡します。」

「田中さん落ち込んでない?」
「落ち込むわよ…、調査部で頑張ってきたつもりだったけど、その調査結果に対してきちんとした判断が下せてなかった気がして、ただ調査するだけなら誰でも出来るじゃない、でも私は違うって考えてた筈なのに、何が大切なのか判断出来なかった…。」
「でも、佐々木代表に伝わって動き始めたのですから。」
「悔しいじゃない、本当ならもっと早く…、今回は緒方くんがいるから大丈夫だと思うけど、そうじゃなかったら無駄なタイムラグが致命傷になりかねないでしょ。」
「次に生かせって、佐々木代表ならそうおっしゃると思いますよ。」
「うん…。」

『近所で珍しく個人調査か…、えっ、対象は中学生…、成程、訳ありって事か、この前の百メートル周辺環境調査エリアから近いな、あの時に何か浮かび上がったのか…、確かにこの内容だと特殊調査員が動いた方が良いだろう、これはきっちり調べないとな、う~ん、そういえば対象家庭近くの居酒屋、最近行ってなかった、ちょっと行ってみるかな、この時間帯なら耳を澄ませているだけで…、はは、まあそこまで簡単じゃないだろうが、行ってみるか。』
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