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調査部-06 [チーム桜-08]

ある土曜日、桜根傘下企業の食堂。

「百メートル周辺環境調査、如何だったでしょうか、調査部としては報告下さった内容に関わらず感想などをお聞かせ願いたいのですが。」
「私は自宅から近かったのですが、改めて見直すと思わぬ発見が有りました、近くの交差点の歩道が電柱の関係で特に狭くて、すぐには無理でも電柱を動かせないかと。」
「自分が気になったのは大きめの地震が起きたら壊れそうな家に住んでるご老人の方です、耐震補強とか考えてみえないと思うのです。」
「今回この会社から百メートルの範囲内が対象でしたが、少し範囲外になる所に住んでる子の家庭に問題が有りそうだと聞きました、気になってるのですがやはり対象外ですか?」
「それは追加で調査しましょう、場所を教えて下さればこちらで、内容も微妙ですので専門の調査員を派遣します。」
「私は中学校でのいじめが気になっています。」
「私も聞きました。」
「そちらも追加調査が必要かもしれませんね、検討させて頂きます。」
「会社から百メートルという区切りは何か意味が有ったのですか?」
「今回の調査は実験的な意味合いも有りますから、広すぎずという事で、会社から百メートル圏内とさせて頂きました、今後はエリア内の改善活動の進捗状況を見ながら広げて行きたいと考えています。」
「調査結果が反映される活動をして行くということですね。」
「はい、モデル地区の設定という形も有りましたが、ここでは桜根傘下の成功例であるこの会社を中心に住み易い町作り活動を広げて行く予定です、今回の調査には、この会社のご協力も頂けましたし、学生ボランティアも参加してくれました、チーム桜の理念に沿ってここでの活動を広げて行きたいと考えています。」
「この活動は、他でも実践されるのですか?」
「はい、結果を見ながら広げて行きます。」
「という事は、ここでの百メートルが二百メートル、三百メートルとなって行ったら、他の拠点企業と重なって行くという事ですね。」
「そこまで到達するには、長い月日が掛かると思っていますが我々の目標では有ります。
有る程度の広さを押さえたら、モデル地区並みの活動に移行して行きたいのですが、楽観はしていません。」
「意識改革が必要という事ですね、今回の調査中にも利己的な発言を耳にしましたが、周りの人の意識が変わって行けば…、強いリーダーがいればペースが上がると思うのですが…、佐々木代表や安藤社長は…、どうお考えなのでしょうか…。」
「そうですね…、その事はお伝えさせて頂きます…、私が聞いているのはタイミングを図ってみえるという事ぐらいです。」
「タイミング?」
「ええ、チーム桜の理念がある程度浸透してからでないと、反発してくる勢力に対抗する事だけで力を奪われかねないと。」
「う~ん、俺達でゆるぎない実績を示さないとだめだって事じゃないのか。」
「反社会的勢力に対抗って事か…。」
「冷静に対応出来るだけの力がなかったら、そんな連中と同類となってしまいかねないな。」
「じわじわ広げて行けば目立たないから…。」
「はい、気が付いたら大きな成果を上げていたという感じにして行きたいです。」
「私はここの社員なのですが、今後も協力させて頂きたいと思っています、どういった形で協力させて頂けばよろしいのでしょうか?」
「有難う御座います、今回の調査結果を公表させて頂きますので、それを参考に日頃からこの周辺を観察して下さると助かります、継続的に見ているとまた違った問題点が浮かび上がってくる事も有りますのでよろしくお願いします。」
「報告はどちらへ?」
「こちらの総務部で担当して頂く事になりました、今回の調査結果もここの社内へは総務部経由で発表させて頂きます。」
「今日参加してない連中にも協力して欲しいと思うのですが、分かり易い形で内容を伝えるコンテンツとか有りませんか?」
「今日の結果を踏まえて作成します、試作的なものが出来上がるまでにはそれ程時間が掛からないと思います、これは無料で閲覧出来る様にします、その後テレビでも流せるレベルの作品を制作して貰う事になっています。」
「有難う御座います。」
「次回の調査は何時頃になりますか?」
「しばらくは、今回の追加調査が主になると思います、調査計画案はまだかなり流動的です。」
「自分が調査計画作成に参加する事は可能ですか?」
「お願いしたいです、調査部としてもここの様にチーム桜が継続的に関わって行く所は人的に補強をして行きたいと考えていますので。」
「なら、私も参加したいです。」
「自分も…。」
「有難う御座います、この後少し残って頂けますか、具体的な相談をしましょう。」
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