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調査部-02 [チーム桜-08]

桜根オフィスの有る建物内の一室。

「ここへの転職を受けて下さって有難う御座います、特殊調査室は色々大変ですがよろしくお願いします。」
「こちらこそお願いします、仕事のメインは企業調査と聞いていますが探偵業と考えればよろしいのですか?」
「はい、探偵業法に基づいて研修を受けて頂きます、ただ実際の調査というよりはバックアップを担当して頂きたいと考えています。」
「分かりました。」
「特殊調査室ではチーム桜調査部として行うとイメージダウンになる様な調査を主に受け持っています、しばらくは研修という事で、今日は調査依頼システムを紹介させて頂きます。」
「はい。」

「ここへの調査案件は、Aの企業調査、Bの人物調査、Cはその他、Dは犯罪関係と分けられています。
全ての依頼案件はまず一次調査を特殊調査員にお願いしています。
一旦全特殊調査員のパソコンで閲覧出来る状態にします、調査員が閲覧を開始しようとするとこちらでパソコンのセキュリティーチェックをするシステムになっています。
問題が有る場合は警告を表示して、その後の閲覧は不可となります。」
「そんなシステムが構築出来るのですか?」
「ええ、チーム桜のメンバーにはその道の専門家もいますから、でも完璧かと言ったら完璧の有り得ないのがネットなんだそうで…、でも現時点での最先端技術で守って下さっているそうです、調査員の人数も多いですから、どこからどんな形で情報が漏れるか分かりませんが…。」
「ですね…。」
「調査員達は依頼案件の内容を確認しながら、動くかどうか決めます、依頼内容は細かく伝えて行きます、受けるのならOK、受けないのならNOをクリック、OKをクリックすると次の情報が提示されます。
例えば、A調査名古屋市の株式会社桜根に関して、と示します、この企業を全く知らない、住まいも遠いという事ならNOをクリックですね、たとえ遠くてもこの企業の事を知ってる、知り合いがいるという事ならOKとなります。」
「知り合いに、この依頼案件の事が伝わるとまずくないのですか。」
「原則、調査員を信じています、ただケースバイケースで、その知り合いの方を利用させて頂く事も有ります、あえて情報を伝えて頂くといった形で。」
「あっ、単純な調査だけでないという事ですか。」
「はい、場合によりけりですけど、それとこのシステムではどの調査員がどの案件に興味を示し、それに対してどの様な行動を取ったのか、ある程度分析出来る様にして有ります、その行動パターンから問題を感じられる調査員は人物調査の対象になります、今の所そんな人はいませんが。」
「なるほど。」
「OKをクリックした人には具体的な依頼内容を伝えて行きます、その依頼内容によって調査員はきちんと受けるかどうか判断します。」
「彼らはボランティアなんですよね。」
「ええ、ただ貢献実績に応じて桜根からうちの通販で使えるポイントをプレゼントさせて頂いてます。」
「普通に人を雇ったら人件費もばかにならないですから、それぐらいの事は有っても良いですよね。
かなりのシステムですけど、構築はすべてここのスタッフという事ですか?」
「ええ、桜根やチーム桜のシステムを色々構築してくれてるメンバーから特に選抜された人達が維持管理に当たって下さっています。
ただこのシステムを利用するのは一次調査、素人の方による簡単な調査のみです、ここから得られる情報だけで充分な時も有りますが、もう一歩踏み込んだ調査を必要とする場合も有り、そこからは訓練を受けたプロが動きます。」
「一次調査が有る分プロの労力が減るという事ですか?」
「それも有りますが、特殊調査員達は今後色々な情報をもたらしてくれると考えています。
あっ、ちょっと失礼しますね…。
社長から特殊調査員へ感謝の言葉が届きました。
何時も作業を問題なく進めて下さり有難う御座います、今回のD案件も良い結果になりそうです、とても助かりました、ただX項目を再度確認の上御注意願います様よろしくお願いします、ふむ、これなら大丈夫ですね、X項目への注意喚起も必要だから、佐藤さん、社長からの感謝の言葉、このまま特殊調査員達に公開して貰えますか。」
「はい。」

「D案件という事は犯罪がらみの調査があったのですか?」
「ええ、今は形を変えて調査を継続しています。」
「X項目というのは?」
「調査員達に事前に知らせて有る注意です、ほとんどの調査員は頭に入れて文章は消去済みの筈ですが、忘れられては困りますので、社長から調査員へのメッセージは良いタイミングです。」
「情報を外部に漏らさない様に色々気を付けてる訳ですね…、社長というのは?」
「桜根の安藤社長です。」
「彼はこういった事にまで気を配っているのですか…。」
「ええ、調査員達には色々気を使って頂いてます、調査員達は原則無報酬なだけに無責任な行動を取る輩が出てくる可能性も有ります、社長は特殊調査員達に、その仕事の成果を示す事で極力そういった輩が出ない様にと考えておられます。」
「しかし、全ては極力極秘裏に進めるべきでは有りませんか?」
「このページを見て下さい。」
「安藤社長が幾つかの企業を紹介していますね。」
「ここに上がってる桜根傘下企業は特殊調査室が絡んだ案件なんです、もちろんどこにもそんな事は書いていませんが、調査員達だけはその事を理解しています。」
「なる程、そう考えて見直すと、大きな実績を上げていると実感出来ますね…、でも…、そもそも特殊調査室はどういう経緯で設立されたのですか?」
「チーム桜は社会的弱者への支援を考えて設立されたと言っても良いでしょう、社会的弱者と言っても色々ですが、今までの事例を見て行くと金銭的に行き詰った人が、そこを突かれて喰い物にされている事も少なく有りません、時には犯罪組織によってです。
桜根の事業展開を考えた時、安藤社長達は、対象としてそんなレベルの企業も想定されまして、より健全な形で事を運ぶ為に、この特殊調査室を立ち上げたのです、一次調査に当たる調査員達は素人ですから素人なりの調査方法マニュアルを作成しました。」
「特殊調査員を集めるのは大変じゃなかったのですか?」
「ええ、ただ桜根の特殊性を考えたら必要だと考えて下さった方も多くみえまして、それなりの規模になりました、まあ桜根の活動が活発な所程、調査員になって下さる方が多いという傾向が有りまして、助かっていますが。」
「あっ、そうでしょうね。」
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