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卒業旅行-06 [チーム桜-05]

午後は観客を入れ替え、同じ会場でクラシック系の演奏を中心に様々なパフォーマンスが繰り広げられる予定。
ただし今回の演奏は株式会社桜総合学園芸能部所属のメンバーだけではない。

「佐紀、今回は芸能部所属だけじゃないんだよな。」
「ええ、事前の録音によるオーデションで残った人達が一週間前に集まって練習して来たそうだけど…、遠藤くんはドキュメンタリー番組に仕上げる様に指示を出しておいたとか…、隆二、始まるわよ。」

弦楽四重奏に始まり、ピアノ三重奏など様々な形式での演奏が続く、進行の橋本裕子の簡単な解説をはさみながら、曲は親しみ易いものばかりだ。
室内楽の後、オーケストラ演奏、合唱、その合同演奏と進んだ。
終了後。

「佐紀、なかなかのレベルの人達が集まってくれたね、良い演奏会だったな。」
「ええ、これはチーム桜の財産が増えたって事ね。」
「でも出身はバラバラなんだろ。」
「一番遠い人は北海道から来て下さったそうよ。」
「う~ん、チーム桜スペシャルオーケストラか、うまく生かして行きたいけど難しいのかな。」
「人数が多いとギャラも膨らむのよね。」
「他の活動をしながら、ここぞという時に集まって頂いたりとか、遠藤は何か考えてるのかな。」
「そうね、何人かは芸能部に入って下さるのかも。」
「そういう流れなのかな…。」
「それより、夜は大物アーティスト登場だからね。」
「まさかだよな、でもギャラは大丈夫なのか?」
「チーム桜に賛同して下さってギャラは格安、まあDVDが売れれば良いって、条件としては私達と食事を共にしたいとの事、明日の夕食を共にという事になってるそうよ。」
「それは、こっちが緊張するよな、大会社の社長以上に、社長相手なら話題の心配はないが。」
「スタッフ連中も舞い上がっていて、食事会に関する私への報告もさっきの休憩時間だったの、ずいぶん前から準備してた筈なのにね。」
「はは許してやれよ、超一流だからね彼女は。」
「でも食事会ではどんな会話を想定しておけば良いのかしら?」
「普段の事なんて俺達全然分からないし、親よりも年上の方だから…、こっちが合わせるしかないだろうな、曲は何曲か知ってるから、多少の質問は考えておくよ、何にしてもお礼は言わなくちゃいけないし。」
「ごめんね、充分な下準備が出来なくて。」
「たぶん大丈夫さ、変な小細工抜きの方が、きっと好感を持って頂けるよ。」
「だと良いけど。」

第三部オープニングは第二部出演者から選抜されたクラシック奏者達の演奏。
続いて滝沢桜子バイオリンソロ、その途中から歌声が加わる。
実力派シンガーソングライターの登場だ。

一曲目終了。
「すごい、バイオリンと歌声だけで、いやだからこそか…。」
「このイメージが有っての…。」

大歓声が収まりかけた所で。
「バイオリンは皆さんご存じの滝沢桜子ちゃんです。」
大御所に紹介され、桜子はにこにこしている。
「では次も桜子ちゃんとです。」

デュエットの後も、第二部出演者の演奏をバックに大盛り上がりの舞台となった。

「桜子ちゃんも、ずいぶん度胸がついてきたよな。」
「でも、なんか守って上げたくなる雰囲気が有るのよね、あの子は。」
「その辺りが人気の秘密なのかな。」
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