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卒業旅行-04 [チーム桜-05]

旅行二日目はイベント。
午前中は桜根とチーム桜の説明会から始まる。

「皆さんお待たせしました、本日進行を務めさせて頂きます橋本裕子です。
今日の第一部は企業の方向けの少し硬めの内容ですが、若い方のご来場も多くて嬉しいです。」
「チーム桜応援してるよ~!」
「裕子さ~ん!」
「来てくれてありがと~!」
客席から声援が飛ぶ。
「有難うございます、ではチーム桜メインスタッフの入場です。
まずは、株式会社桜総合学園制作部、遠藤社長。
続きまして、チーム桜の、佐々木代表。
桜根の重鎮、大川副社長。
桜根広報担当、早瀬常務。
最後は、じゃがいも社長です。」
大きな拍手と笑い声に迎えられ五人が舞台上に並ぶ。
「あのさ、どうして自分だけじゃがいも社長なの?」
会場から歓声が上がる。
「待ってました!」
「じゃがいも社長、素敵よ~。」
「あらっ、私の隆二に色目を使っちゃだめよ。」
佐紀が声を上げる。
これは、ここ最近の場を盛り上げるネタの一つ。
和やかな雰囲気で始まるが。

「ここからは事前に皆さまから頂いた質問に答えながらとさせて頂きます、まずは早瀬常務お願いします。」
「はい、私からは桜根組織の事について話させて頂きます。
若干分かりにくいという声も有りました、サポート企業と協力企業という名称をサポート企業に統一させて頂く事になりました、二者は設立当初立ち位置が大きく異なりましたが、桜根周辺の協力関係が大きく進展しましたので分ける必要がなくなって来ました。
持ち株会社桜根の傘下企業集団桜根グループと、桜根と色々協力し合うサポート企業集団という形になります。
サポート企業同士も良好な協力関係を築きつつ有り、時には桜根がその調整をさせて頂く事も有ります。
桜根発足から一年、賛同して下さる方のおかげで桜根傘下の企業も拡大しております。
弱小の中小企業の集まりが、サポート企業の援助の元大きくなりました。
おかげで僅かながらも株主配当を出させて頂く事も可能になりました。
ただ、先日株主様にアンケートをお願いした結果、配当に充てる資金が有るのならそれを桜根グループ拡大の資金にという声が多数有りまして。
この続きは素敵なおじさま、大川副社長お願いします。」
「はは、美人常務の後にこんな親父で申し訳ないですが、うちの安藤社長は桜根のさらなる拡大を決意して下さいました。
ちょっと誤解が有る様ですので話させて頂きますが、安藤社長は決して飾り物の社長では有りません、この一年、年上の社員の上に立って桜根を見事に導いて下さいました。
私自身安藤社長の元で働けた事は喜びであり誇りです、今まで何人もの社長を見てきましたが、彼ほどの能力を持った人物は少ないと思っています。
私は、この度その社長から桜根九州支社の支社長に任命して頂きました。
この地のテレビ局が協力して下さったおかげで、桜根が何を目指しているのかご存知の方も多いと思います。
この地でも中小企業再生、経営安定化を目指して活動して行きますので、よろしく御協力の程お願いします。」
沸き起こる拍手が期待の大きさを表している。
「では次に安藤社長、お願いします。」
「はい、先にお断りしておきますが、大川支社長は話を盛る癖が有りますので、私の事を過大評価されない様にお願いします。
名古屋で動き始めて、愛知県内、隣の岐阜三重で拡大しつつ有る桜根ですがこの九州の地からも、繋がりたい、仲間としてもっと協力して行きたいという声を沢山頂きました。
その熱意にお応えすべく、先ほど大川が申しました通り、株式会社桜根九州支社の設立を決意させて頂きました。
皆さまご協力のほどよろしくお願いします。」
再度の歓声の後。
「さて、私どもの目標は幾つか有りますが、今日は内需拡大について少しばかり話させて頂きたいと思います。
企業が人件費を必死で削ろうとしていた事は、皆さんご存じというより、この会場にお越しの方の中にも、人件費の削減は大きなテーマだと考えておられる方もおみえでしょう。
工場を人件費の安い海外へ、正規雇用から非正規へ。
そうして競争力を維持せざるを得なかった訳ですが、その結果はどうでしょう。
所得格差が語られていますが、購買力の低下により安ければ良いという感じのデフレ的購買行動を推し進めて来ました。
安ければ良い、ならば薄利多売、その為には人件費を抑える、購買力が落ちる、こんな循環では内需の安定、拡大あり得ません。
この構造を根本から変えたいと考えているのが、うちの通販事業です。
良いものを、それなりの価格で販売する事によって関係企業にきちんとお金が流れる。
二極化が進んでいる日本です、良いものにはそれなりの対価を支払える人だって少なく有りません。
関係企業で働く人達の収入が安定すれば、彼らは次の多少高くても良質なものに手を出せる購買層になる。
簡単な事では有りませんが、こんな形で内需の安定に繋げたいと考えています。
まずは安心した子育てが出来て、きちんと良いものを購入出来る人を増やす事、これが広がれば安定した内需拡大にも繋がっていくと考えています。
薄利多売は大企業にお願いして、我々は良質な物を社員にきちんとした額の給料を払える価格で販売させて頂く事を考えています。

さて我が国は輸出関連企業の力が大きいですが、世界経済には常に不安材料が潜んでいます。
我々は、不況になった時に真っ先に苦しめられてきた中小企業を、桜根傘下に置いたりサポート企業となって頂いて協力し合う事によって、少しでも強くすることを目指しています。
チーム桜は色々な思いのが込められて立ち上げられた仲間組織、その経済活動の中心が桜根となっております。
若輩者であります私が社長を務めさせて頂いております、しかし多くの優秀な社員によって支えられています。
皆さんが色々な形で、チーム桜、桜根と繋がって下さったら幸いです、よろしくお願いします。」

拍手が巻き起こる。
青年社長の堂々とした話ぶりに感銘を受けた者も多かった様だ、中には飾り物の社長だと思って来場した人もいたのだから。
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