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桜根-10 [チーム桜-04]

桜根オフィス。

「安藤社長、ちょっとお時間よろしいでしょうか。」
「ええ杉浦部長…、応接室へ行きますか。」
「はい、お願いします。」

桜根オフィス応接室。

「杉浦部長、そろそろ本社へ戻れって指示が来ましたか。」
「ああ、その通りだ、桜根も色々システムが固まって来たからな。」
「ほんとにお世話になりました、色々教えて頂いて杉浦部長なくして今の自分はないと思っています、進藤社長にも感謝してます、我が社で負担すべき給料まで持って下さって、有能な社員を送り込んで下さるなんて普通では全く考えられない事です。
で、今度は何を企んでおられるのですか?」
「はは御見通しか、まあ大した企みじゃないけどな、それと最初の頃こそ色々アドバイスさせて貰ったが、桜根ではずいぶん安藤社長から学ばせて貰ったよ、私の方が感謝してる。」
「その、よいしょ感が怪しいですね、そろそろ本題へお願い頂けませんか。」
「実はだな、ヘッドハンテングの話しが来てるんだ。」
「なるほど、杉浦部長なら来ても不思議じゃないですね、相手先は大きい所ですか。」
「ああ…。」
安藤に耳打ちする杉浦。
「良いんじゃないですか、それで何を企んでおられるんです。」
「はは、まあ俺がそこで実績を上げれば、今はチーム桜とも無関係な企業でも桜根との関係を作って行けないかと思ってな。」
「それだけですか?」
「まあ、その過程で桜根の協力が有ればとは思うけど。」
「進藤社長の方はどうされます?」
「う~ん、御免なさいかな。」
「ヘッドハンテングってそうなってしまうのですか?」
「まあな。」
「杉浦部長、友好的ヘッドハンティングでどうでしょう?」
「友好的?」
「ええ、進藤社長、先方の会社、そして桜根が杉浦部長の移籍によって友好的に結びついて三社の利益を模索するって如何です?」
「あっ、そうか…、そうだな…、そこまでは考えてなかった。」
「転職に失敗したら桜根に戻って来て下さい、でも…、転職先で社長まで登りつめて先方を桜根サポート企業にして頂けると嬉しいのですが。」
「はは、俺が社長になったら桜根傘下に入れてくれるか?」
「う~んそうですね、それは考えときます、でも、この件は最優先で動いて頂けますか、進藤社長と早急に相談したいのですが。」
「了解したよ、まず安藤社長と進藤社長の席を、その結果を踏まえて先方とも交渉してみる、よろしくな。」
「転職しても私の事、忘れないで下さいね、師匠。」
「いや、もうとっくに君の師匠は卒業してるよ。
正直今回の事も自分なりに色々考えたけど、そこまでは考えてなかったから…。」
「では、当面コソコソですか、どう発表するかも含めて考えて頂けますか。」
「うまく表に出す事が出来れば、多くの方が企業間の繋がりを考えるきっかけになるかもしれんな。
ただ…、なんらかの形で桜根に自分の名を残しておきたいと思うけどどうかな。」
「じゃあ我が社の会長を兼務とか、現状ではまだ小さな肩書きですが桜根はこれからの企業ですからね、ご不満でしたらご自身で役職を考えて下さい。」
「はは、会長は有り得ないけど無難なとこを考えさせてもらうよ。」
「えっ、どうせなら無難じゃなくインパクトの有る攻めを考えてみませんか、そうだな我が社の相手方企業担当を兼務…、杉浦部長こういう場合は、専務ですか常務ですか?」
「いや、こういう場合は普通ないと思うから…。」
「でもこちらの意向と先方の意向とが常に杉浦部長の頭の中だけで解決するって面白くないですか。」
「う~ん、確かに面白くは有るか、まあ先方での立場にもよるかな。」
「うちを生かせる部署が一番効果的だと伝えて下さい、給料は先方から沢山頂いて下さいね。」
「はは、そこはちゃっかりしてるんだな。」
「桜根はまだ小さい会社ですから。」
「インパクトか…、確かに与えたいな世間に、じゃあ俺のここからの給料は十円とか?」
「それは、最低賃金を割ってしまってまずくないですか?」
「あっ、そうか、でも無報酬って人もいなかったか…、はは、今まで自分の給料と最低賃金の関係性なんて事考えたことなかったけど。」
「最低賃金の事も考えて下さい、自分としては都市部と田舎の最低賃金格差が気になっています。
雇う側と働く側の論理に隔たりが有って単純な問題では有りませんが、バランスが悪いとは思っています。
都市部への人口集中をくい止めないと…、過密と過疎の問題は自分達の大きなテーマの一つですから。」
「そうだったな、先方の会社には東北に新工場建設という計画が有るから覚えておくよ。」
「進藤社長と先方とはうまく行きそうですか?」
「う~ん、正直安藤社長に言われるまで考えてなかったから…。」
「協力するとお互いにとってプラスになる部門が有ると思います、そこで成果を上げれば…。」
「あっ、確かにそうだ…、安藤社長、大企業一つ桜根傘下に入れるつもりで動くよ、でも今は誰にも内緒だぞ。」
「はは、もちろんです。」
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