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桜根-07 [チーム桜-04]

居酒屋で長江は小栗に色々説明をしている。

「長江さん、少し分かって来ましたが、ほんとに私達社員の給料が上がるのですか?」
「それは社員の方次第です、これから改善案を幾つも出させて頂きます。
それに対して前向きに取り組んで下されば、たぶん実績も上がるでしょう。」
「社員にやる気がなかったらどうなります。」
「そんな方々には他社の研修とカウンセリングを受けて頂きます。
代わりに、ここは他社からの出向者で固めて業績を上げて行きます。」
「しかし慣れてないのに業績上がりますか?」
「慣れててもやる気のない人より、何倍もましですよ。
実際に会社改善を経験してこられた方々ですからね。」
「では、その後ここの社員はどうなります?」
「真面目に働く気になったら桜根傘下の企業で働いて貰います、その気がなくて疾病等の理由もないのなら、正規の手続きを踏んでやめて頂きましょう。」
「今までにそういう人はいたのですか?」
「僅かですがいました、ただ他にやりたい事が有ったのかもしれません。」
「そうですか…。」
「まあ、ほとんどの方は研修で変わりますけどね、仕事に対する考え方とか。」
「特殊な研修なんですね。」
「いえ、メインは普通に業績を上げてる他社で説明を受けながら働く事です。
そこで伸びる会社と伸びてない自分の会社の違いに気付く訳です。」
「やはり長江さんの目から見たらうちの会社はだめなんでしょうね。」
「だめと言ってしまうと語弊が有りますが、まあ桜根関係者が見たら問題だらけですね。
整理整頓がなされてなくて伸びてる会社は少ないんじゃないですか?」
「やはり、そこですか…。」
「桜根傘下入りはうちの部長が来て最終判断を下します、それまでにある程度改善する意思を示して頂けないと…、現時点で桜根傘下入りを希望されてる企業も少なくないのです。
たまたまこの地に桜根支社を置く計画が持ち上がったので、かなり優先的に話を進めさせて頂いておりますが、正直な所、社長も従業員も一丸となって立て直そうとしてる企業を優先したいのです。
その辺りのご理解だけはお願いします。」
「分かりました、成功例を参考にさせて頂きながら私なりに進めてみます。
そう言えば失敗例はないのですか?」
「まだスタートしてから一年も立っていません、改善に時間が掛かっている会社も有りますが、まだ試行錯誤の途中で失敗とか判断する時期では有りませんし、そんな会社へは短期間で業績を伸ばした会社の社員が色々な形での支援を試みています。」
「桜根グループで支えあってという事ですか…。」
「はい、さらに協力企業が、時にはサポート企業が、そしてチーム桜のメンバーが支えて下さっています。
それに対して桜根には責任が有ります。」
「そうですね、自分もうちを立て直したら、支える側になれる様がんばります、よろしくお願いします。」
「はい、お願いします。」

小栗と別れた後、長江。

『まあ、実際はほとんど全部の企業を受け入れているけどね、安藤社長の方針で。
倒産寸前で泣きついて来たとこも、色々調べてみたら何とかなるレベルだったし。
ちょっと話が進みにくかったから、多少の脅しは…、許されるよな…。
今日のとこは規模が小さいから良いけど、明日の案件は…、脅しを必要としないレベルで俺を受け入れてくれれば良いけど。
まあ、今日の所が特殊だとは思うけど、社長があそこまで信頼されてないのは何か裏が有りそうだな。
今までで一番時間が掛かった会議…、チーム桜や桜根の事をまともに調べずに会議に参加する社員、ちょっと特別に調査依頼をしておくべきだな、足元をすくわれないように。
メールを入れておくか…。

う~ん、ちょっと多めに案件を抱えてしまったかな…、でも何とかなるだろう。
業績ナンバーワンの横山さんがハードな挑戦を始めたから、ナンバーツーの俺は支社長候補として実績を上げないと恰好が付かないしな。』 
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