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山間の町-10 [チーム桜-03]

十一月横山の引越し。

「ちょっと手伝いの人多過ぎませんか、井上さん。」
「横山社長、人海戦術でさくさくっと終わらせて、後は観光ですよ。
皆さん、新しいモデル地区に興味が有りますからね。」
「お礼とかはどうすれば…。」
「はは、前にお話しした通り個人的なお礼なんて必要ないですよ、皆この案件の難しさは理解しています。
地元の方からの差し入れを配らさせて頂きますから、それで充分ですよ。」
「そうですか…、井上さん、しかしどうやってこの人数を集めたのですか?」
「ちょっと告知をしただけですよ、そしたら横山さんが担当された企業の方とか、間伐材受け入れ企業の方が現地を見るついでにとか、その他諸々。
もちろん今後もここを支えようって人ばかりですよ。」
「何かチーム桜なら何でも出来そうな気になって来ました…。」
「これから大変だと思いますが、がんばって下さいね。」
「はい。」

「メインの搬入は終わりましたから開梱チームと子どもと遊ぼうチーム以外は一旦集まって下さい。」
井上の呼びかけに応じた人達に横山は。
「皆さん今日は有難う御座いました、自分にはこんなにも多くの仲間が居るんだと改めて気付かせて頂きました。
この家は部屋数も多いですから、是非遊びに来て下さい、若干子ども達が騒々しいですが。
後は井上から話が有るそうです。」
「この後ですがこのエリアの観光としましては…。」
「ちょっと待った、何か早く終わり過ぎたからさ、希望者だけで良いからこの辺りの掃除とか草むしりとかしないか、チーム桜の挨拶がわりにさ、その後温泉に入って飯食って観光ってどうだ。」
「良いね、道具とか地元の人と交渉して来ようか。」
「おお、必殺交渉人が動けば即決だな。」
「あ、それならうちから取って来ますし、隣近所にも声を掛けますよ。」
「地元の方も手伝って下さっていたのですか。」
「はは、必殺交渉人出番なしだな。」
「その分草をむしるさ。」

掃除や草むしりを通して地元の人との交流も生まれた。
引っ越し作業も一区切りついた頃、横山の元を訪ねる夫婦が有った。

「横山社長、飯山と申します、お忙しい所申し訳ないのですが少しお時間を頂けないでしょうか。」
「はい、大丈夫ですよ、あっ今日は有難う御座いました、色々手伝って頂きまして。」
「いえ、私共にも思う所が有りますから。」
「何か?」
「新会社の従業員はどうされるおつもりですか。」
「安藤社長からは私の裁量で雇う様に指示を頂いています、ただ間伐材の伐採とか結構きつい仕事も想定してますので簡単には。」
「私は結構体力に自信が有ります。
今の職場では責任有る立場にいまして不満が有る訳ではないのですが、出来れば桜根の転職制度を利用して新会社で採用して頂けないかと思いまして。」
「何か事情がお有りなんですね。」
「はい、小学生の娘達が今の学校になじめてないのです。
それが妻のストレスにもなっています。
そこで思い切って気分を一新しようかと、私自身も一つのチャレンジとして横山社長の元で働かせて頂けないかと思いまして。」
「そういう事でしたら、お願いしたいです、今の勤務先とも調整させて頂き、ここでの暮らしがうまく行かなかった時の事も考えます。」
「住居はここほど立派では有りませんが、すぐ確保出来ます。
この地で実績を上げる事が出来れば次の展開も視野に入れていますから、えっと連絡先は。」
「あっ、失礼しました。」
名刺交換となる。
「えっ、飯山さん、あそこの部長と言えば、それなりの…。」
「肩書きなんて関係ないです、安藤社長と比べたら自分なんて小さいと感じてますから。」
「でも、おたくの社長が簡単に了承しますか?」
「まあ部の相談役ぐらいは続けなくては行けないかもしれません。」
「その辺りも含めて調整させて頂きます。」
「よろしくお願いします。」
「それにしても、よくご決断をされましたね。」
「私は元々アウトドア派なんです、この地にログハウスをチーム桜有志でとか面白く有りませんか。」
「あっ、面白いかもしれませんね。」
「木を切り倒して寝かせる所から始まって完成は数年後とか。」
「良いですね、あっ奥さんは大丈夫ですか?」
「私も自然が好きなんで、何の縁もない所で不安も有りますが、チーム桜関連ならと思っています。」
「ですよね、支えてくれる仲間がいますから、うちの家族とも仲良くして頂けたら嬉しいです。」
「よろしくお願いします。」
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