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山間の町-09 [チーム桜-03]

安藤達の視察から数日後、横山は家族と共に。

「へ~、立派な家なのね。」
「まあ一階のある程度のスペースは新会社の本社となるけどな、ここはこども園にも近いし、この辺りではかなり良いとこなんだ。」
「さすがに街並みは微妙ね。」
「ああ、名古屋のモデル地区とは大違いだ、でもここは周辺の住民にとって重要な所なんだよ。」
「うん分かってる。」
「じゃあ挨拶しに行くか?」
「うん。」

「こんにちわ。」
「ああ、横山さんいらっしゃい、はは、坊や達怖がらなくても大丈夫だぞ。」
「初めまして、百合子と申します。」
「おお、よろしくな、困ったことが有ったら何時でも声をかけてな。」
「はい、有難う御座います。」
「奥さんはこんな山奥に抵抗はなかったのかい?」
「いいえ、私もチーム桜の一員としてここの活動に微力ながらも関われて嬉しいですし。」
「でも、田舎暮らしは慣れてないそうで。」
「はい、不安がない訳では有りません、でも、主人が桜根に就職してから明るく会社の事を話してくれてまして、安藤社長の事とかも嬉しそうに、前の会社ではこの人死んじゃうじゃないかって思う事もあったんです、それを考えたら多少の不便は気にも出来ません。」
「そうでしたか…。」
「子ども達も小さいので色々ご迷惑をお掛けしてしまうかもしれませんがよろしくお願いします。」
「な~に、子どもは国の宝だからな。
東京に住む息子からも連絡が有ったよ、自分が帰れないのは申し訳ないがチーム桜は本物だから協力して欲しいって、色々調べたそうだ、安藤社長の事も。」
「はい自分も息子さんと電話で話させて頂きました。
安藤社長の名は全国的に知れ渡りつつ有りますから話しが楽なんです。」
「あんな若者がいるとは思いもしなかった、すでにある意味何千人かのトップなんだろ、でも謙虚で…、育ちの良さなのか?」
「ですかね? 普通年下の上司ってやりにくい部分が有ると思うのです。
でも安藤社長は器の大きさというか能力の高さというか。」
「誰でも惚れるよな。」
「はい。」
「うちの長男は東京暮らしで役に立たんが、娘達はこの近くに嫁いでいてな、何か有ったら声を掛けて欲しいと本人達が言ってたから使ってやってくれな。」
「う~ん、それは心強いですね。」
「この子達にとっては大きく環境が変わって大変な試練になるかもしれないが…。」
「それも経験ですよね、うまくなじめる様考えてはいますが。」
「まあ、子ども達の事は子ども達が解決してくれるかもしれんけどな。」
「はい、自分は見守る事しか出来ないかもしれません。」
「これで、ここの人口が五人増える訳だな。」
「えっ、そんな感覚なんですか?」
「ああ、わしはな。
他の連中の心中は分からんが…、自分の生まれ育った町がもっと活気に溢れて欲しいと思ってるんだ。」
「はい、そのお気持ちに添える様がんばります。」
「はは、頼むな。」
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