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山間の町-07 [チーム桜-03]

昼食会をゆっくり済ませた後、隆二達は制作部のメンバーとも分かれ地区内を見て回る。

「安藤社長と回れば何かしらのアイディアを頂けるとは思っていましたけど、さすがですね。」
「いえ、思ったより良い案が浮かばなくて、横山さんのお役に立てませんでした。
新会社の本社兼社宅が安く借りられることになって良かったですけど、まだ初期投資を早い段階で回収出来る見込みが立ってませんから。
もっと余裕を持って新会社の運営が出来る状態にと考えてはいるのですけど。」
「そんな事ないです、今日のお話しでかなりの可能性が見えてきました、桜根に対しての貢献というレベルではまだまだですけど、少なくとも初期投資を返しつつ、この地の活性化にお役に立てそうな気はしています。」
「そうですか…、横山さん、別荘ですけど有効活用すれば新会社が少しは楽になりませんか?
皆さんの善意に甘える事になってしまうのですけど。」
「あっ、そうですね、別荘という名称でなく合宿所オーナー募集とかにしても分かり易くて良いかもしれません。
そこを農業体験の方に利用して頂ければ、もちろん合宿所としての利用も有りですがこちらとしては有りがたいですね。
今調整中の物件はどうしますか。」
「そのまま進めましょう、合宿所が完成するまで必要になりますし、田舎暮らし体験は早めに始めたいですから。
今後の状況によっては合宿所が完成した後も必要になって来るかもしれません、と言うより必要になって欲しいですね。」
「はい、農業体験開始まではまだ時間が有りますから、それまではイベント関連で使ったり色々考えてみます。
そうだ、田舎暮らし体験は妻と相談してみます。
家族五人の田舎暮らし、文章と写真ぐらいなら自分達でも大丈夫です、夫婦違った視点で発信していけると思いますし。」
「そうでした、まさにこれから体験される訳ですものね。
良い事も悪い事も率直にお願いします、でも体験者募集は実行しましょう、家賃収入で改装費とか返して行けますし、定住促進にプラスになりますから。」
「何となく見えて来ましたので、今後のスケジュールを見直してみます。」

「それと、別荘で思ったのですけど将来的には桜根グループの福利厚生施設もここに建てますか?」
「あっ、保養施設ですか…。」
「ここに保養施設が有れば、従業員の内の何%かはここに来るわね。」
「横山さん、会社の保養施設って十二分に活用されているのでしょうか。」
「自分が以前働いていた所では、有るという噂は聞きましたが実際に利用した人の話しは聞いたことが有りませんでした。
まあ大きい会社だと人気の施設も有るそうですが。」
「サポート企業も含めて、各社の保養施設の利用状況、また福利厚生の実態を確認したいな。」
「隆二、私が動くわ、ちょっと盲点だった気がするの。」
「うん頼む、横山さん色々可能性を模索して行きましょう。」
「はい、すでに社宅や社員寮の共有化の話しは進んでいてコスト削減に繋がりそうだと聞いてますから。
保養施設も人気のない所は改修したり、一般への解放も考えて有効利用したいですね。」
「大都市以外へお金の流れが出来るのなら、積極的にやりたいわね、今まで人気の無かったとこなら穴場とかアピールしてみたり。」
「何もないけど静かさが有るとか。」
「隆二、それ良いかも。」
「う~ん、そのコピーはここでも使いたいです、実際今は前にも後ろにも車はいないじゃないですか。
ちょっと国道からそれてみたら、自分以外誰もいない空間が存在していて、でも何か落ち着けたんです。
都会の孤独ではなくて、田舎でしか経験出来ない感覚だと思います。」
「となると、絵描き達にも来て貰いたいな。」
「似顔絵で頑張ってくれてる人達ですね。」
「ええ、ただ残念な事に自分の脳はその費用対効果を考えていますよ。」
「はは、社長の性って事ですか?」
「横山社長もいずれ分かりますよ、目標をクリアする為には色々考える必要が有りますから。」
「でも目標が有るだけ今の自分は幸せです、桜根入社前はひどかったですから。」
「はは、後は利益の問題ですね。」
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