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始まり-05 [俺達の挑戦-03]

「どうだった、佐紀。」

問いかけたのは、迎えに来た安藤隆二だ。

「来て良かったわ、まだ理解の個人差は大きいみたいだけど、皆素直に受け止めてくれてるみたい。」
「特に問題は?」
「今日は感じなかったわ。」
「どう、継続的に彼らの声は聞けそう?」
「弟の亮が一応、訳の分からないままだけど、とりあえず窓口にはなってくれたからね。」
「君の弟という事はやはり優秀なの?」
「どうかしら得意分野がずいぶん違うからね、まあうちの大学に受かるだけの能力は有るけど。」
「新入生をうまく組織に導きたいと思ってるんだけど、どうかな。」
「さっき会った子達は、かなりの興味を示してくれて力になってくれそうだった、力量までは計れなかったけどね。」
「しばらく様子を見てみるか。」
「そうね、彼らに対しては急ぐ必要はないわよ、気には掛け続けるけど。」
「ああ。」

「隆二、この後は?」
「一件目はチーム桜のオリジナルグッズを企画製作して下さる会社の一つでORGU株式会社、タオルとかシャツといった布系のグッズ担当、今日はデザイン系の学生と、うちの土屋さんが行って打ち合わせをしてる。」
「私はどうすれば良い?」
「まずはご挨拶させて頂いて今後の確認だから、にこにこしながら問題ないか気にしててくれれば良いと思う、重要な所は土屋さんにお任せしてあるからね。」
「え~っと、ORGU株式会社は桜根傘下じゃなく、桜根に協力して下さる形だったわね、でもチーム桜の一員、確かに複雑な組織だわ、新入生が戸惑うのも無理ないわね。」
「だろうな、ORGU株式会社はチーム桜サポートカンパニーとも取引が有ったり、取引先で実際にタオルを作って下さる会社が桜根の傘下入りを希望してたりするからな。」
「グッズ関連の会社が、ほとんどチーム桜に参加して下さることになって良かったわね。」
「ああ、そこはORGUの鈴木社長のお陰だ、お礼もしとかないといけない、傘下入り希望の会社へも同行して下さるそうだから。」

ORGU株式会社では鈴木社長から二つの提案があった。

「早瀬さんの写真か絵をシャツかトレーナーに使ってみない?」
「えっ、私のですか? でも私はアイドル部では有りませんから。」
「なあ君たちはどう思う?」
休憩中の社員や学生達に問いかける、社長。
「良いですね~、早瀬さんはアイドル部と並んでも全然違和感ないし。」
「アイドル部の連中のと一緒に売り出すのも有りじゃないですか。」
「写真か絵かが問題だけど…。」
「絵描き達に活躍の場を与えましょうよ、動物園の似顔絵では多額の寄付を頂くことに貢献してくれましたから。」
「色々なポーズのを売り出したら、一人で複数枚買う人も出てきますよ。」
「着るのが勿体ないぐらいのとか、関取サイズとか作っても面白くないかな。」
「そ、そんなの作っても売れませんよ…。」
「早瀬さん、間違いなく売れるものに仕上げますから、そうだなマスコミへの露出は多くして下さいね。」
「安藤社長、如何です?」
「う~ん、オリジナルグッズの売り上げは重要な資金源と考えていますからね、でも早瀬さんの知名度はまだ低いだろうし。」
「なに言ってんですか、昨日の放送の後、ネットで盛り上がってますよ、あの美人は誰だって感じでね。」
「そうですよ、ローカル放送の反応だけでかなりのものですから、桜子さん達に負けてませんよ。」
「どうする?」
「ほんとに資金源になるなら承諾するしかないわね。」
「ならば、佐々木代表とかも協力してもらうか?」
「そうよね。」
「安藤社長はどうです?」
「どうって?」
「商品化。」
「俺はルックスで勝負するタイプじゃないだろ…、あ~、デフォルメされてじゃがいもか?」
「あ~、良いかも、じゃがいも社長…。」
「早瀬さんと並んで美女とじゃがいもってどう?」
「あのさ、俺はおもちゃじゃ…。」
「ほら、出来たこんな感じでどう?」
「早~い、ふふ、面白い行けるよじゃがいも社長。」
「チーム桜のマスコットキャラクターにしようよ。」
「どことなく安藤社長に似てるとこが良いわ。」
「アイドル部のグッズより売れたりして。」
「うんうん、安藤社長良いですよね?」
「はぁ~、赤字にならない様に気を付けてくれよな。」
「じゃあ、良いんですね。」
「ここんとこさ、もう少し細めにしたらどうかな?」
「ポーズのバリエーションとかさ。」
「社長ってとこを強調しても面白くないか?」

手を付けられなくなった社員と学生達を残し鈴木社長の車でタオル工場へ向かう二人。
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