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架空サークル-90 [俺達の挑戦-02]

中田社長宅。

「社長、どうにか表向きはスタートにたどり着けましたけど、どうです。」
「まあ今の所は想定内に収まっているよ。」
「結構同時進行で進んでるから大変じゃないですか?」
「いや、安藤社長に心配して頂く程でもないよ。」
「あ~、その社長ってだけは勘弁してくださいよ、部下が全員年上で優秀なんですから。」
「どうだ社長って大変だろ。」
「気分的には大変です、でも今はまだ大したことは何もしてませんから…。」
「まあ、今のままで良いんだよ、細かいことは部下を信じて任せる、ここぞという時はしっかり指示を出す。
そんな社長の方が、部下に慕われるものだからな。
おたくの社員の一人に聞いたら、安藤社長からは要点を突いた質問が出て来て下手な事言えないってさ、社長の前では結構緊張してるって話してたぞ。」
「それは話しを盛ってますよ。」
「そうでもなさそうだったが。」

「それより経理事務の統合はどうですか、中田工業サイドで問題は有りませんか。」
「今の所はないよ、逆に問題点が有るなら早く知りたいけどな。
うちみたいな規模だと社長とか嫁さんとかが経理やってるとこ多いんだ。」
「そう言えば奥さん、嬉しそうでしたね、自分は社長の決断に反対されるかもと思ってましたが。」
「経理事務って、結構大変なんだよ、それから解放されるから大喜びさ。
前に外部委託を考えた事も有ったけど、色々考えたら踏み切れなくて…。
その時は不機嫌になってたなぁ~。」
「でもまだシステムが完成という訳でもないから…。」
「大丈夫だよ、おたくの担当もきっちりやってくれているからな。
実際に中小六社が参加となったから、六社全体で考えたら効率的だと思うよ。」

「今の所、桜根社内に置いてますけど、やはり別会社にして傘下に置きたいと思っています、社長はどう思われます?」
「う~ん、そうだったな、俺としてはどちらでも良いとも思っていたが…。」
「経理の外部委託を請け負う事も想定していまして、これから参加してくる会社の経理を請け負う所から繋がり始めるのも有りではないかと思っています。
参加希望企業が増えて来ていますから、傘下に入って頂く手続きを待って頂いてる段階からでも経理事務の部分で繋がっておけば、その企業の状況も掴めますし。」
「そうか、請け負うので有れば参加希望をしていない企業と繋がれる可能性も有るしな。」
「はい、それと各種団体の事務請け負いも視野に入れています。」
「各種団体?」
「例えば寄付によって成り立っている団体も有ります。
そんな団体でも事務関係で人を雇う必要が出てきます。
寄付の規模にもよりますが、寄付金の中の結構な割合が人件費になってる所も有ります。
寄付金の額、その仕事量と人件費がアンバランスになってる団体も有るのです。」
「そうか、適正な人件費なら問題ないが…、寄付金とか助成金、補助金って不透明な部分もあるな。」
「その見直しも我々の視野に有ります。」
「なるほど、ならば別で会社を立ち上げた方が良いだろう。」
「では、その方向で動かさせて頂きます。
社長ちょっと失礼して電話を掛けさせて頂いてもよろしいですか。」
「ああ。」

「失礼しました。」
「もう終わったのか。」
「はい、ゴーサインを出しただけですから。」
「新会社設立の?」
「はい、他の参加企業三社へはうちの担当者が連絡を取ります。
経理事務の統合の段階で了承済ですから、問題無いでしょう。
遠藤のとこもうちも、もちろん問題ないですから。
人事も三社の経理担当中心に組んで行く予定で、近々会社設立の発表が出来ると思います。
遠藤の所の経理部長候補は、すでに他の部署で活躍中だそうで引き抜きは諦めました。」
「準備は整っていたということか。」
「はい、中田社長の承認が出たら一気に動くということで。」
「いや、もう俺なんかの意見を聞かなくても…、隆二の判断で動けよ。」
「いいえ、中田工業は旗艦会社ですからね。」
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