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架空サークル-85 [俺達の挑戦-02]

十二月の中頃、大きな発表があった、遠藤が社長となる会社関連だ。
それを受けて安藤隆二と早瀬佐紀は中田の家を訪れた。

「ようやく理子と早瀬さんにも話せるな。」
「ですよね、ごめん、二人に隠し事をしたかった訳じゃないからね。」
「でも発表された内容は、遠藤社長の会社設立に向けての株主関係とかで…、そんなに秘密にしなきゃいけなかったことなのですか?」
「ですよね、なんかもっとすごい事が発表されるかと思っていたけど…。」
「まあ表向きは、そんなとこなんだけどね。」
「ポイントは持ち株会社の部分なんだよ。」
「近い将来持ち株会社へ移行の予定って有りますけど…。」
「実際の所、だからどうしたってレベルなんだけどね、今は。」
「今は、ですか?」
「実に微妙な要素を含んでいるから、軽はずみな事は言えなかったんだ。」
「何を勿体ぶっているんですか、私達にも分かる様に話して下さいよ~。」
「はは、まあ解禁にはなったけど…、隆二から話せよ。」
「社長、ここで逃げますか?」
「隆二の方が冷静だろ。」
「はあ~、えっとね、実際は大したことじゃないかもしれないんだ、ただ途中で変な横やりが入る可能性が否定出来なくて…。」
「二人ともいい加減にして下さい。」
「はは、隆二怒られちまったな。」
「えっとね、中田工業が一つ目の旗艦会社になるかもしれないんだ。」
「えっ?」
「父さん、ちゃんと話してよ。」
「理子、持ち株会社って分かるか?」
「う~ん、なんとなく。」
「遠藤社長の設立する会社と同じ位置に中田工業が並ぶかもしれない。」
「え、え、どういうことなのか…、良いことなのかそうでないのかも全く分からないけど…。」
「今回設立される会社の株主は近い将来新設される持ち株会社の株主になるんだ。
この持ち株会社の立ち位置は、これから広がって行くであろう俺達の組織の全面支援とも言える。」
「じゃあ父さんの会社は遠藤さんの会社の株主から、一つ上の会社の株主になるってこと?」
「まあ、そんな所だ。」
「ただね、中田工業の株式もその持ち株会社へ移行する予定なんだよ、今の所は全部じゃないけどね。」
「じゃあ、子会社になるってこと?」
「その辺りは今後の展開次第になるな。」
「旗艦会社ってどういうこと?」
「最初、持ち株会社の傘下は遠藤社長の会社と中田工業で始まるけど、その先の展開は伸び悩んでいる会社、先々は潰れかけの会社を意識してるんだ。
まずは、小さい町工場が参加しますよって、まあシンボル的なものだな。」
「全然解らない。」
「企画書の実践なんだけどね、一つの共同体を形成するって。」
「それって、あの大手スーパーとかが客を囲い込んでってるって話し? エンクロージャーとか例にしてた。」
「ああそうだよ、ただ諸事情があって自分の企画書はかなりの部分を隠した状態でしか公表してなくてね。」
「えっ? どうしてですか?」
「始めから全部公開してしまうと感の良い人が変に動く可能性も否定できなくてね、完全版は極秘扱いで限られた関係者にしか配られていないんだ。
まだ完全に公開という予定もないけど、とりあえず今回の発表で箝口令は解かれたから。」
「隆二くんの書いた企画書が極秘扱いだったのか…。」
「隆二の企画書が大企業の重役連中の心を動かした、そして実際に動くことになったから…、君達もこれから極秘情報に触れる可能性が有るから気を付けて欲しい、色々な利害関係が生じてくるからね。」
「はい。」
「さ、お嬢様方にもう少し整理して話してあげてくれよ。」
「はい…。」
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