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架空サークル-84 [俺達の挑戦-02]

話し合いを終えた後、学生達はファミレスに来ていた。

中田理子。
「今日はうちの父さんのおごりだからね。」
「何か申し訳ないな。」
「気にしないで下さい、隆二さんが来て下さること父さん喜んでるんです、うちは三姉妹で女性ばかりですし、妹は反抗期だから。」
「そっか、うちはそういう意味ではバランスが良いのかな…。」
「隆二くん今度は家庭の問題考えてるの?」
「ああ、そう言えば今まであまり考えたことなかったなあ、って思ってさ。」
「それより今日の反省とか、後輩もいるから。」
「そうだね、あっ、注文を済ませようよ。」

オーダーを済ませた後。

「まずは今日の感想とか聞いとこうかな。」
「先輩、私は自分の勉強不足を実感させられました。
代表の本も、安藤先輩の企画書ももう一度読み返してみます。
今日のお話しを聞かせて頂いた後だから、今までとは違った読み方が出来ると思っています。」
「自分もです、分かったつもりでいたけど本当の所が掴み切れていなかったです。
でも、自分は先輩の第一歩に立ち会わせて頂けたんだって…、大きな理想に向けての小さな第一歩ですよね、これから自分ももっと勉強して先輩方のお手伝いをさせて頂けたらと思っています。
よろしくお願いします。」
「こちらこそ、よろしくな。」
「私は…、いえ、私も何も解ってなかったって気になったわ、隆二くんごめんね。
佐々木代表の考えに酔いしれていたのかな、でも現実ってのを…、一人の寝たきりの方が見えたらその方を介護する人がいる、その介護は決して楽な事ではない、実際自分達でとなった時なんて想像したこともなかった。
武さんはご自身の家庭が大変なのに地域の事にも目を向けておられて、なんか恥ずかしくなってしまったわ。」
「隆二さんは武さんのお話しにきちんと受け応えてたけど経験が有ったのですか?」
「自分の考えが広がり始めた頃、実際の現場を幾つか見学させて頂いたよ、ちょっと別の思惑もあったんだけど、色々な現実を目の当たりにして…、このままで良いのかって思った。
改善案も考え始めたけど、小さな一つの施設ぐらいならなんとかなっても、日本中に幾つの施設が有るんだろうって考え始めたら絶望の淵に立たされたよ。」
「それでも、このプロジェクトを立ち上げようと思ったのは?」
「同時期に会社体験実習が始まったんだ。
中田社長もそうだけど、小さい会社でも経営しておられる方々はそれぞれ信念があって、魅力的な方ばかりだった。
で、思ったんだ小さな一つの施設の改善すら実現できてない内から、何考えていたんだろう俺、ってさ。」
「それでスタートの規模は小さくてもって事ですか。」
「そんなとこだよ、ただ注目されてるからね、俺たちは、小さくても一つの実績を上げることが出来たら広がって行く可能性は有ると思ってるし、そんな活動をして行きたいと思ってる。」
「隆二さん、私でもお役に立てること有りますか?」
「もちろんさ、この地で成功出来なかったら、俺達の勢いは弱まると思ってるからね。
逆に何かしらの成果を得られたら、次へ繋がって行くと思っている。
だから具体的なお願いもさせて貰う事になる…、でも無理には引き受けないでね。」
「はい。」
「私も今まで考えてきたことと関連させながら、隆二くんの手伝いしていきたいな。」
「先輩今後の具体的な活動はどうなっているんですか?」
「商店街の方との交渉、旧商店街と言っても良いくらいだけど、空き店舗を利用しての実習を目論んでいるんだ、公園の店舗では狭すぎて、実習希望に応え切れてなかったし、ここだとまた違った挑戦になるからね。 
それと…、調査活動を予定している、はは、今までに例を見ないレベルの調査を調査チームに叩きつけてやったよ。」
「えっ?」
「エリア内全戸アンケートだけじゃない、電柱一本の場所だって適切な場所なのかってレベルでの調査、その結果から動き始める体制も整いつつ有る。」
「それじゃあ、武さんが話してみえた、子ども達の通学路で安全上気になってる所も。」
「最優先だね。」
「どうしてそこまでこの地域にこだわるのですか?」
「いや、別にここじゃなくても良かったけど、条件とタイミングが合ったということかな。
同じ事を広範囲でやっても、やってる事がぼやけてしまう可能性も有るんだ、一点に集中することによって相乗効果も出てくるからね。」
「私の生まれ育った町が、私達の活動のシンボルになるかもしれないのか…、様子を見ながら友達にも声を掛けてみます、そうだ今度の同窓会の時にでも話してみようかな。」
「同窓会か…、そうだ有る程度の成果が出せそうになったら、同窓会プロジェクトってどうかな、ここの小中学校出身者達に同窓会を企画してもらって、もう一度自分たちの生まれ育った町を見直して貰うって感じで。」
「成果が出始めてからの方が良いのかしら。」
「うん、今じゃないと思う、形が出来始めてからの方がインパクトが有ると思うんだ。」
「じゃあ武さんにも伝えておきますね、タイミングは武さんが決めてくれると思いますから。」
「そうか…、そうだね、時期なんて俺がとやかく言う事じゃないね。」
「でも、武さんばかりに色々お願いするのも…。」
「大丈夫ですよ、武さんが動いたら協力して下さる方は少なくないんです。」
「あっ、だから中田社長は真っ先に。」
「ええ、人を動かすのは武さん、お金を動かすのは銀行屋だからって。」
「そうか、今日の人選は社長にお願いしたけど、そういう事だったのか…。」
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