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架空サークル-78 [俺達の挑戦-01]

この頃には遠藤の会社も設立に向けた準備が進んでいた。

「佐藤さん、会社設立に向けての書類作成とか、プロジェクトの連中ちゃんとやってますか?」
「はい遠藤社長、皆さん真面目な方ばかりですから大丈夫です。
学生の実習のこととか、株主候補との調整とかで時間は掛かっていますが概ね順調です。」
「佐藤さん、二人きりの時は遠藤くんぐらいにして貰えませんか。」
「それはだめです、年齢関係なく私の上司ですから。」
「やっぱ妹さんと同じで真面目なんですね。」
「いえいえ、社会では当たり前のことです、それから私のことは、う~ん、今は準備室長、会社が正式に立ち上がったら総務部長、もしくは佐藤と呼び捨てでも良いですよ。
こちらは小さいながらも、大会社の重役クラスともお付き合いさせて頂くことも有りますからね。
その辺りはきちんとしておかないと舐められますよ。」
「はい…、でも佐藤さんが了承して下さって助かりました、プロジェクトの連中の評判も良いですし。
ただ、こんな若造が社長の、しかもこれから立ち上がる会社で働くなんて、良く決断して下さいました、有難う御座います。」
「いいえ、私も佐々木代表の本は読まさせて頂いておりましたから、妹が羨ましかったんですよ、やりがいのない仕事をしていたことも有りますし。」
「佐々木は、会長でも取締役でもどちらでも良いって言ってますけど、どう思います?」
「代表には会長職の方が相応しいかと、取締役候補はこれから幾らでも出てきますよ。」
「ですね…。」
「後、一次書類審査を通った経理部長候補達は、俺たちの挑戦を必ず読んでからという条件付きで五名、来週月曜日面接予定です。
佐々木代表のOKも取って有ります。」
「もっと簡単でも良かった気がしますが。」
「経理は重要ですからね、自分にスキルが有れば自分でやりたかったくらいです。
ここは結構大金が動くことになりそうですから本当に信用出来る人でないと危険なんです。
ただ、書類審査を通った方々は経理部長以外でも何らかの形で雇いたいというのが佐々木代表の意向で、ここの礎を築いてくれそうな人ばかりです。」
「あいつも他で忙しいのに…、俺が弱音吐いたから気を使ってくれてるのかな。」
「確かに忙しそうですね、彼の秘書役の子からスケジュール見せて貰いましたけど、自分ではとても精神的に持たないレベルの方々との懇談も有りますし。
時間的には余裕が有るって秘書の子は話してましたけど、準備も有りますから。」
「そうなんですよね、すでに教授達が何人かフォローに入って下さってはいるとはいえ、先方としては佐々木と直接話しがしたいでしょうし…、自分としては頼りたいのですが、さすがに…。
そうだ、面接に来て下さる五名の方全員にここで働いて頂くとなったら、どんな形で働いて頂くとか案は有りますか?」
「経理部長の他には、社長補佐、営業部長、番組制作部部長、事業部長といった所でしょうか、部下は学生で固める、学生の中から部長を抜擢していけたら、それぞれ部長補佐という形も有りかもしれません。
それぞれの仕事量がどの程度になって行くかによりますけど。」
「事業部はどんな役どころですか?」
「番組制作以外の新規事業の運営をしたり…、あっ、パフォーマー達の活動をフォローしていく会社の社長も必要でしたね。」
「そうですね、今後を考えたら核になる人物は全然足りないかも、でも先を見通しにくいから…。」
「社長、現時点での状況に基づいた事業計画案を作成してみましたがご覧頂けますか?
事業計画は設立時にも必要なものですから。」
「はい。」
「これはあくまでも案です。」
「なるほど、事業計画というのはこんな感じなのですね。
やっぱり、桜子のCDやDVDがどの程度売れるのか、この会社をベースにして進められる実験的事業展開がどう進むか…不確定要素が多いですよね。」
「でも真面目にじっくり取り組んで行けば、結果も出ますよ。」
「そうですね、大赤字というのは避けたいですが株主になって下さる方々は小さな物を望んでおられませんから…。
佐藤さん、この事業計画を学生達に公表しても良いですか?」
「もちろんです。」
「う~ん、事業計画初号…、ゼロ案にしようか、佐藤さん、我が社の事業計画ゼロ案として学生向けに分かり易くまとめて頂けませんか、何なら補助で学生を…、いやゼロ案だから簡単で良いです。
そうだ映像を残さないとな。
今、カメラを用意しますから、佐藤さんは今のやりとりを再現できますか?」
「は、はいやってみます。」

遠藤は事業計画案作成プロジェクト立ち上げの模様を映像に収めた。

「事業計画作成も学生達の実習や研究の一環ですか?」
「もちろんです、ここから色々な事業案が出てきますよ。
うちは注目度高いですからね、何らかの形で参加したいという学生は少なくないんです。」
「事業計画ゼロ案の方は完成したら見せて下さい。
自分は企画書を作って承認を得ますから。
承認された時点で公開します。」
「これも番組に?」
「当然です、すべての情報公開がうちの基本ですし、大きな流れの事業計画だけでなく、個別案件も出てくると思いますからね、動植物園に始まった俺たちの活動が次のステップに向かっているというアピールもして行きたいですし。
設立時には正式事業計画一号を公開しつつ、事業計画二号へ向けての案の募集、検討ぐらいでも良いかもしれません。
自分達は所詮素人の学生ですから、案も公開して行くことによって大人の方からのアドバイスも頂ける形にして行きたいですね。
最終判断は自分がしなくてはいけないけど、常に事業を見直せる体制を構築して置くことはマイナスにならないと思うのです。」
「はは、それでこそ遠藤社長、裏は私が全力で支えますから、細かいことは気にせず前を向いていて下さい。」
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