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架空サークル-77 [俺達の挑戦-01]

「俺は、とんでも無い事に首を突っ込んじまったのかもしれない。」
「どうしたんだ隆二? お前は中小企業での実習だったよな。」
「ああ、中小企業の抱える問題をテーマに実習させて頂いた…、なあ皆さ、佐々木さんの企画書とか読んだ時に、佐紀ちゃんがさらっと語るような規模の会社を思い浮かべなかったか。」
「うん、そうだな…。」
「でもな、経済活動って中小企業に支えられている部分も少なくないんだ。
小企業でも技術の力で優良企業と言える所もあるしな。
でも…、年間何社ぐらい倒産してるか知ってるか?」
「あっ、そうかデータでは見たけど、自分に関係無いと思ってあまり気にしてなかった…。」
「俺もだ、でも今回体験実習で何社か回らさせてもらってから、改めて佐々木さんの企画書や本を読み返してみた、今更ながら俺たちの挑戦の意味が分かった気がしてきてるんだ。」
「ごめん、俺はその部分流してた、隆二の思ったこと話してくれないか。」
「ああ、佐々木さんは本の中で、社会の安定のためにも、幸せを感じることの出来ない人を減らす事は出来ないだろうか、という問いかけをしている。
その一つ、中小企業の問題についても企業間の横の繋がりとか成功例も紹介しながら説明してくれてるけど、大きく繋がることの必要性を…、繋がりの強さはそれぞれで良いからとしつつ指摘。
その土台を我々学生が構築出来ないだろうかという提案がなされていた。」
「難しそうだな。」
「小さな交流から業種にこだわることなく、真面目な企業で将来性も有るのなら資本関係まで見直す所まで、簡単なことじゃない。
少しずつでも動いて行けたら違った物が見えて来るかもしれないけど…、会社の数の多さを考えると…。」
「隆二くんはびびってるの?」
「佐紀ちゃん。」
「佐々木さんが考えてることは壮大な実験でしょ、企業の有り方を考え、国民の生活を考えて、話し始めたらきりのないレベルのとんでも無い事なんだけど、私たちはそれに首を突っ込んだ。
関わりあい方は人それぞれ、でも多くの人たちが同じ方向性を持って取り組んだら、少しずつでも結果が出てくる、私の実習先の方々も私達と同じ方向を見て下さってる。
もう学生サークルの域を遥かに越えて動き始めてる。
そのスタートに私達は参加させて頂いてる。
私は自分が結婚して子どもが出来て、その子が大きくなった時、我が子に自慢できるだけの事をやりたい、成果を上げたいって考えてる。
学生時代の仲間にとんでもないことを考える人がいて、でも、そのとんでもない事を大勢の人達が協力して住みやすい世の中になったの、って話し聞かせたいわ。」
「だな、佐紀ちゃんのおかげで気合入ったよ。」
「隆二も自分の出来る範囲で良いからさ。」
「いや、やるならとことんやりたくなって来て…、でも自分に出来ることなんてたかが知れてるから…。」
「隆二にとって次のステップはどんなことなんだ?」
「まずは、組織作りだろうな、スタートは一つの小企業から始めるつもりだ。
我々の方向性に賛同して下さっている方とは実習を通して何人か知り合えた。
その中から余裕の有る方と相談を始めていて、企画書も作成中。
小さな会社でも、関係先は一つ二つじゃない。
それら関係先の方々とお話しをさせて頂いて、我々の趣旨を理解して頂けるかどうかが…、自分にとっての第一の関門になると思っている。
考えようによっては布教活動とか政治活動に近い部分も有るから、慎重に行きたい。
逆にここがうまく行ったら、後はマルチ商法と同じ様に広がって行く、もちろん基本的に個人の利益を目的としてない訳だけどシステムとしてはね。
俺達にとってラッキーなことは、すでに我々の活動が色々紹介されていることだ。
遠藤社長の功績は大きいよ、実習先でも学生達がんばってるんだな、ってお言葉を頂いた。
このプロジェクトも、社会人の参加募集の形が決まったら、紹介してもらう様に事務方にはお願いしてある。」
「隆二くん、さっきは御免なさい、そこまで考えてるのに私…。」
「佐紀ちゃん、気にしなくて良いよ、若干びびってるは事実だから。」
「ね、私も手伝わさせてもらえないかな。」
「えっ? でも君は君で。」
「中規模の会社までは視野に入っていたけど、小規模、個人経営とかまでは、でもいずれ関係して来るというより関係して行かなかったら、本物にならない気がして。」
「もちろん手伝ってもらえたら心強いけど、自分の企画も有るのだからやれる範囲でね。」
「了解で~す。」
「あれっ、隆二が浮かれるかと思ったら、佐紀ちゃんの方が浮かれてないか?」
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