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架空サークル-72 [俺達の挑戦-01]

九月になって大きく動き始めたプロジェクトに会社体験実習がある。
各プロジェクトで積極的に動いたリーダー達が、自分の担ってきた役割を後輩に引き継いで参加という方向性で準備されてきた。

「会社体験実習ですけど、佐々木さんと遠藤さんは一足先に体験してみてどうでしたか?」
「俺は喜んで貰えたみたいだよ、この企画のキーワード、とにかく質問してみる、を思いっきり実行したからね。」
「うわっ、佐々木の質問ぜめなんて考えたくもない。」
「まあ、角の立たない様に気は使ったから。」
「はは。」
「結果、職場内の無駄が判明したり、新たな事業展開の可能性が見えたりとかしたよ。」
「やはり、就職して下さいって感じになったのですか?」
「う~ん、さすがに言いたいこと言ってたからか…。」
「部下が佐々木なんて嫌だろ。」
「だよな。」
「そういうことだったのかな…、まあアドバイサーとして来て欲しいとは言われた、今度そこの社長と会うけど社員の不満を伝えることにもなってる。」
「ますます就職が遠のくな。」
「それが目的じゃないよ、でも体験実習のオファーは別で何件か来てるから、今後の展開はまだ読めてない。」
「俺たちには佐々木レベルなんて無理だぞ。」
「新入社員の研修を受けるぐらいの気持ちで良いと思う…、ただこれから体験する人には予備知識を持って望んで欲しい、文書は今まとめてるからね。」
「予備知識って?」
「新入社員がとても基礎的な社会のルールを分かってなくて、という嘆きの言葉を頂いた。
就職の面接でも、面接官が即不採用にしたくなる事例があるともね。
そんな事をまず我々が把握して整理して他の学生達に伝えて行くこと、それもこの実験的会社体験実習の目標の一つに置きたいと強く感じたんだ。」
「そうか無謀な就職活動をしてた先輩方もいた訳だ。」
「職場環境って、自分で作る部分も有るみたいだ、怒られてばかりの新入社員は職場環境を劣化させる、ミスから学べる人ならまだ救いようもあるだろうけど…。
新入社員のレベルアップということを思い描いて、このプロジェクトをスタートさせて貰ったけど、予想以上に基本的な所から取り組まなくては行けないみたいなんだ。
理解できてない事をそのままにしていてミス、なんてざらにあるそうだから、とにかく質問してみる、プラス、理解出来るまで分かった振りをしないということも付け加えておくよ。」
「佐々木さん、私達が実習の中で気付いたことはどんな形で共有して行きますか?」
「あっ、そうだったね、この取り組みはまだ大きく公表出来ないから…。」
「私、まとめ役やりましょうか? 思ってたより順調に引き継ぎが出来て余裕が有りますから。」
「じゃ、佐藤さんにお願いしようか? みんなどう?」
一同うなずく。
「じゃあメールなどで情報送って下さい、佐々木さんも実習前の予備知識お願いします。
整理して佐々木さんに確認頂いてから皆さんに送ります。」
「佐藤さん有難う、助かるよ、この件は就職に有利になる可能性を秘めているからね、おおっぴらにやるとクレームが出かねない、皆の実習結果から次の方向性を見出して各方面と調整してから、参加者を増やしていくというステップを考えているからよろしくね。
もっとも、ここに居る皆は優秀だから、有利とか関係ないと思ってるけどね。」

「佐々木さん、労働関係を研究するプロジェクトを立ち上げませんか、表に出さなくても良いですから。」
「佐藤さん、それはどんな感じ?」
「実は私の兄は就職先が入ってびっくりのブラックだったんです。
体壊してやめた後、今は体調が戻って就職先探しているのですが、なかなかうまく行かないみたいで今は非正規です、優しい兄なんですけど…。」
「そうか…、確かにその方向からの調査、研究も必要だね、皆どうかな?」
「就職先によってはすぐ非正規雇用の人達を使う立場になるって聞いたな。」
「私たちの協力企業にブラックなのが混ざって無い事を祈るしかないのかな…。」
「避けては通れないよな、俺達だって一つ間違えば同じ道だぞ。」
「どう活動してく? 微妙に表にしにくいテーマだけど。」
「いや、重要なことだから表に出して行くべきだと思う、リーダーは俺がやっても良い。」
「佐々木がプロジェクトリーダーというのは賛成できないな。」
「そうよ全体を生ぬるく見ていて欲しいから余力を減らさないで、それより関連するのは、労働法? 法学部の協力が必要じゃないかしら。」
「メンバー全員で共有していくべきテーマだな、俺がリーダーやっても良いけど、引き継ぎにもう少し時間がかかりそうだから…。」
「高橋が持ってるプロジェクトは大きいから、無理するなよ。」
「やはり私がやりましょうか、言い出したのは私ですし。」
「佐藤さんなら問題ないけど…、ただ、ここに居るメンバー全員がこのテーマを心に持って活動するってどうだ?」
「だな、全体には何時公表する?」
「ある程度、下地を作ってからの方が良くないか。」
「反対意見はないかな?」
「無ければ、佐藤さんリーダーで労働関係調査研究プロジェクトスタート、皆で協力して進めて行くってことで良いのかな。」
一同うなずく。


花ワールド-hirata
ぷちぎふと工房 コンサルジュ
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