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架空サークル-70 [動植物園再生-07]

新獣舎建設の正式発表の様子はテレビでも紹介された。
佐伯明香はそれを両親と見ていた。

「あそこも動いたのか。」
「父さん、当たり前でしょ、ある意味地元企業なんだし。」
「いや、そういうレベルじゃない、明香には分からないだろうが大企業というのはだな…。」
「それが企業側窓口の怠慢で遅れてたらしくて…。」
「どういうことなんだ?」
「先方だって、私たちのサークルのことご存じだったのよ、そりゃマスコミでも色々取り上げて頂いてましたからね。」
「だな。」
「この地方を代表する大企業に対して、うまくコンタクトが取れてなかったのは、企業側窓口担当者の力量不足だって先輩方は思っていたそうなの。
その担当者を切って佐々木先輩が直接交渉したら一発でOK、背景には今後の活動にも関係する色々な事情があるみたいだけど…。
さっきの専務が、この施設以外でも佐々木代表関連でかなりの額を用意してるなんて話してみえたけど、あれは結構マジみたい。」
「えっ? 何億とか?」
「結果次第ではさらに、父さんも佐々木先輩の、俺たちの挑戦、読んだでしょ?」
「ああ、だけどあれだけ論理的に説明されても現実とのギャップを考えると…、なあ母さんも読んだんだろ?」
「佐々木さんのパワーなら、そのギャップを埋められるかもってワクワクしてますけど、明香からも色々聞いていますからね。」
「…、で…、どうなんだ実際の所、順調なのか?」
「概ね順調ってとこかな、もちろん全く問題がないって訳じゃないけど、この規模で問題がなかったら逆に危ないって言ってる先輩もいるわ。」
「そりゃそうだな、で、どんな問題?」
「宗教や政治関連が大きな課題みたい。」
「そうか、組織を利用して布教活動する奴とかいそうだな。」
「ただ宗教活動を全面否定するのもどうかって、例えばクリスマスだって元はキリスト教の関連行事でしょ、でも日本人の多くにとっては単なるイベントと化してるじゃない。」
「だな、うちは仏教の中でも特に緩い宗派だから気にもしないでクリスマスを楽しんできたけど。」
「公的組織に於ける宗教活動の制限をどこまでにするかって、宗教学的見地から検討してる人たちもいるのよ、組織内に於ける宗教の位置づけとか。
怪しげな新興宗教の布教活動を排除しつつ、でも信仰心は否定しないってことの落とし所を探ってるんだって。」
「そうか…、政治活動も似た様なことなんだろうな。」
「それがね、大変なの、桁違いに。」
「どの政党の支援も受けないし、どの政党にも直接協力しませんって、佐々木代表の本に書いてなかったか?」
「うん、その部分はぶれてないけど、メンバーの中には、いずれ私達の政党を立ち上げる時が来るかもしれない、方向性として考えて行きたいう人もいるの。」
「新党か…、う~ん…、佐々木党首の本気を見てみたい気もするな…、あの本の内容がまともに動いたら…、何年後かには…、やはり政治学的観点から動き始めてる連中もいるってことか?」
「みたいね。」
「佐々木代表ってまだ二十歳そこそこだよな。」
「うん、学年は私のいっこ上、でも日本で飛び級制度が充実してたらとっくに大学卒業してたって。
本の内容だって高校生の頃にはかなり出来上がってたそうだから。」
「う~ん天才なのか…、だから彼に多くの大人達が…、代表は否定してたけど、やはりこの程度のプロジェクトは通過点になるんじゃないのか。」
「でも今は土台作りの時で…、これからは動植物園から離れた企画も表に出てくる…、だから表向きには通過点と思われてしまうかもしれないけど、この新獣舎建設プロジェクトは組織作りに成功するかどうかの、とても重要なものなのよ。」
「そうか…、確かにそうだ…、俺たちの挑戦か…。」


花ワールド-hirata
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