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架空サークル-54 [動植物園再生-06]

フラッシュモブの翌週、売店の改装作業が行われた。

「小規模案件ながら、早い段階から注目を集めたことも有り、多くの参加をいただけて嬉しいです。」
緊張の面持で話し始めたのは中山。
「作業そのものも大切ですが、この機会に工務店の方のお話しを伺ったり、今後の活動に向けて横の繋がりという事なども想定していますので宜しくお願いします。」

準備はしっかりなされてきた。
改装工事そのものはスムーズに進む。
小規模なので実際の作業に係わる人数は限られた。
作業に参加しない者達は工務店担当者の話しに耳を傾ける。
彼らの多くは建築系を専攻している。
彼らは将来、設計、現場監督といった道を歩む。
実際に自らの筋力を使って建物を作っていくことを想定していない。
が、故に、現場の話しを聞くことは有益だった。

「あの時の現場はね、設計ミスだったとしか言えなかったんだよ、図面通りに施工したらとんでもないことになりそうで…。」
工務店の部長が経験談を話す。
こんな話に笑いはするものの、自分が設計者の立場になった時を考えたら笑えない。

昼食は近くの大学の学生が用意してくれた。

「どうぞ、ここでの販売も視野に入れたお弁当です。」
「有難うございます。」
「おいおい、お前変に緊張してないか?」
「ま、まあ仕方ないだろ、高校は男子校だったし、工学部は女性の比率低いし。」
「皆さんは、やはり将来は建築のお仕事ですか?」
「就職はそうなると思ってるよ。」
「こいつ、見かけによらず優秀なんですよ、良かったら。」
「よせよ。」
「建設業界はこれからしばらく強いからね、リニア新幹線がらみとかオリンピック関連とか、戦後に建てられたビルの建て替えや、補修もあるからね。」
「あ、そうですよね。」
「君達は、ここでどんな活動を?」
「このお店をベースにして色々な実習を目論んでいます。」
「男手が必要になったら何時でも、こいつ貸すからね。」
「おいおい。」
「よろしくお願いします。」
「よし、第一関門クリアってとこだな、がんばれよ。」
「だから…、ちょっと…。」
「お前、うじうじしてたらみっともないぞ。」
「心の準備もしてないのに、お前ら勝手に…。」
「じゃあ、次は心の準備させとくんで。」
「はい、期待してます。」
「…。」


花ワールド-hirata
ぷちぎふと工房 コンサルジュ
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