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架空サークル-41 [動植物園再生-05]

発足式翌日、日曜日、学生たちは一気に動き始めた。
すぐ実行に移される企画もある。
連絡を取り合ったり、会合を開いたり。
昨日の興奮さめやらぬまま学生たちは動いていた。
プロジェクトは大小様々、多くの企画が結びついて大きな集合体となっているものもある。
高橋はそんなプロジェクト統括責任者だ。

「高橋さん、動物生態調査の方は動物園職員の方とも相談して色々できそうです。」
「その調査のフォローも工学部メンバーからすでに色々な案が出て来ています。
単なる映像だけでなく、得られたデータをどうまとめていくかとか。」
「その協力あって、糞の調査も形に出来そうです、にしても、糞の分類なんて思いつきもしなかったことですが、データも分かり易くして、糞処理研究チームに渡せそうです。」
「うん、ま、皆順調みたいだね。
ただ、これからは問題も起こってくると思うから、とにかく無理しない、一人で抱え込まないを守ってくれな。」
「俺は無理してでも完成させたいって思ってるけど…。」
「分かるよ、その気持ちは、俺もこの取り組み面白いから目いっぱいやりたいって思ってる…、
自分の力で成功させましたって格好いいし、結果残せたら嬉しいって思うのは当たり前、でも俺たちの壮大な実験の場では制約もある、企画がんばったけど留年とかでは本末転倒だろ。
いや、あえて留年してでもって奴が出て来てもおかしくないが、対外的にということもあるし、留年するほど抱え込むって俺達の挑戦では完全にNGなんだよ。
一つの目的にリーダー育成ってなかったか?」
「あっ、有りました、自分はタイプじゃないからスルーしていましたけど。」
「リーダーってさ全部自分でやる人かな?」
「え~っと、自分では実務をしないで人を動かすってことですか?」
「ま、色んな解釈が出て来る所なんだけど、君にもリーダーになって欲しいと思うな。」
「でも、自分そんなタイプじゃないですけど…。」
「タイプは関係ないさ、一つの作業を一人でやっても限界がある、でも、その作業を上手に後輩や仲間に振り分けることが出来たら、限界が無限に広がると思わないか。」
「あっ…。」
「実際俺だって佐々木の…、うまく言えないが…、佐々木の限界を広げる役割を担っていると思って動いている。」
「先輩たちの信頼関係って…、なんかうらやましいな…。」
「はは、俺はずいぶん議論をふっかけて、敗れた立場だから結構面白くないんだけどね。」
「あの、殴り合いの喧嘩をした後お互い分りあえて男同士抱き合う、って感じですか。」
「おいおい、そんなドラマじゃないよ。
でも…、皆がリーダーとはって考えることは大切なことだと思ってる。
この活動を通して優秀なリーダーが生まれたら面白いと思ってるよ。」
「リーダーか…。」
「佐々木なんて、どの道に進んでもトップリーダーになると思う、でもね、トップリーダーだけじゃ世の中回って行かないんだよ。
その辺りを皆には考えてみて欲しいかな。
組織を固めて行く時には色々なリーダーが必要だからね。」
「はい。」

リーダー論は上級生たちの中でずいぶん議論もされてきたことだ。
高橋の話しには色々な思いが込められていた。


花ワールド-hirata
ぷちぎふと工房 コンサルジュ
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