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架空サークル-39 [動植物園再生-04]

サークル発足式終了後、大人たちの飲み会が開かれていた。
セッティングしたのは企業側窓口の上野と市役所職員の永田、人数が多いので幾つかのグループに分かれている。
その一つ、永田も参加する席、型通りの紹介の後、永田が…。

「うちの子達どうでした?」
「永田君、よく『今時の子は』って表現する奴、いるじゃないか。
でも今日参加して、真面目な子達もいるんだなって改めて見直したよ。」
「ですよね、皆、我が社にって気になりました。」
「はは、抜け駆けはなしでお願いしますよ。」
「そうでしたね。」
「前向きな子達って何かオーラが違うと思いません?」
「だね、自分も今日、彼らから力を貰った気がしますよ。」
「企画はまだ稚拙なものも多いですが、伸び代を感じさせてくれますね。」

「企業の方々は、全面的にバックアップという感じなんですか?」
この発言は某大学学長桐山祥子だ。
「桐山先生、ここで一気に地元活性化ですよ、我々にとっての直接的なリターンよりも、地域の活性化による経済活動への波及効果は小さくないと考えています。
これが成功したら、うちの百万程度の出費なんて安すぎるかもです。」
「マスコミも押さえていますからね、学長。」
「有難うございます、うちの実験的取り組みも皆さんの後押しのおかげでシステム構築の目途が立ってきましたから。」
「いえ、逆に保育の問題を考えさせられました、我が社でも力のある女性に残って欲しいと思っていますが、社会環境が追いついていないと感じています。」
「私は今日一人の学生から、企業としてもっと直接的に積極的に女性の働く環境を整えるという発想があっても良いのではないか、企業が協力して保育所とかを充実させることは無理なのかと問われましてね…、今考えてる所です。」
「結構、核心を突いてますね。」
「二十歳の女の子の発言に、即答出来なかった自分が情けなかったです…、目先の利益だけでなく先を見据えて下さい、無駄な出費とは思えませんから、とまで言われまして…。」
「先か…。」
「桐山学長は今の話し、どう受け止めます?」
「どうもこうも…、保育所に預けられる子だって、将来はお宅の企業で働くかもしれないって考えたらいかがです?
自分達の代さえ良ければ、子や孫の世代がどうなっても構わないなんて思ってませんよね?
それとも自分の身内さえ幸せだったら良いとでも?」
「うっ…。」
「先生、企業として保育所とどう係わって行くか…、自分で企画書作って学生達にも協力して貰って、検討して行くって可能ですか?」
「たぶん佐々木代表なら断ったりしないと思うわよ、お願いしてみたらどうかしら。」
「えっと、永田さん、代表とはどう連絡を取れば良いんですか?」
「その発言をした学生は誰ですか?」
「丸山…、えっと…、丸山えりこさんだったかな…。」
「ああ、丸山恵理子なら納得です、代表にメール入れますね。」

その後は別の話しで盛り上がる酒席。
話しが区切りがついた所で永田が。

「先ほどの件、佐々木代表からはOKを頂きました、丸山さんとも相談したそうです。」
「早いね。」
「丸山さんも、おたくの企業をイメージして企画書を作成してくれるそうです。
代表曰く、同じテーマで二つの企画が出て来るって面白いよね、ということです。」
「えっ? 俺が試されるってことか…?」
「すいません追い打ちをかける様ですが、返答の前におたくの社長ともコンタクトを取って了解を得て有るとの事です。」
「待って下さいよ…、私だって…、社長と話したことはそんなにないのに…。」
「社長も乗り気で期待していらっしゃるそうですよ。」
「う、嘘でしょ?」
「はは、あの狸親父やるな。」
「ちょっと他人事だからって…。」
「はは、うちだって無関係じゃないから協力しますよ。」


花ワールド-hirata
ぷちぎふと工房 コンサルジュ
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