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架空サークル-21 [動植物園再生-03]

再び学長室

「お疲れさま。」
と、ねぎらいの言葉を掛けたのは桐山祥子学長。

「疲れました~。」
「え~中山先輩大したことしてないじゃん。」
「お、お夏、そんなほんとのこと言っちゃだめでしょ。」
「あ、そうだった。」
「はは、まあ中山もがんばったということにしといてやってくれな。」
「はい、光一先輩がそうおっしゃるのなら、さ、お飲み物どうぞ。
は~い、他の方々、お茶とコーヒーどちらがいいですか~?」
「ちょっと待て、俺だってそれなりにがんばったのに、佐々木はちゃんとしたティーカップで…、レモンティー? で、俺たちは紙コップか?」
「中山君、世の中は不公平なものなのよ。」
「が、学長~。」

演劇部の橋本裕子、華道部の佐伯明香も自分たちのサークル紹介を終えて手伝いに来ている。
「さ、先輩お菓子もどうぞ、佐伯明香と申します、よろしくお願いします。」
「いや、こちらこそ…、そう言えば、まだ四人だったんだね。」
「ふふ、でも佐々木先輩、今日の感触ではかなり増えそうですよ。」
「そうだな、メインのスタッフとかプロジェクトを立ち上げるといった人は分からないけど、人手が欲しい時に動いてくれそうな人は結構いたね。」
「参加しやすいシステムで広めて、そこから色々動いてくれる人が出てきたら面白いって、亀田さんも話しておられました。
始めからハードルが高いと確かに盛り上がらないと思います。」
「しかし、真面目な子だけにして欲しいかな…。」
「ふふ、遠藤先輩大変でしたね。」
「まったく、人が真面目に話してるのに…。」
「でも彼女たちは結構真面目なんですよ。
もう入会するつもりで遠藤先輩の所へ集まった子達で、まあ、女子大に現れた男子学生に若干興奮気味だったということで、許してあげて下さい。」
「ああ…。」
「ちなみに先輩の評価、結構高かったんですから。」
「えっ、俺は佐々木と違って…。」
「女子が外見だけで判断してると思ったら大違いですよ。」
「じゃあ俺も?」
「中山先輩は、もう少し芸風を固めていかないと…。」
「え~、俺は芸人じゃないぞ。」

「はは、ま、お楽しみのところ申し訳ないが、ちょっと連絡事項があって…、いいかな?」
一同、佐々木の方に目を向ける。

「役所の永田さんから連絡があって、皆が今練ってる企画の第一回目の締切を四月末にするとのことだ。
企画書の完成までに、まだ時間がかかるという場合でも、途中経過ということでもいいから一つの形にする、また必要な予算も概算でいいから出して欲しいとのこと、今後の活動に大きく影響するので無理をしてでもお願いしたいそうだ。」
「えっ、今までは永田さん、どちらかというと、じっくり取り組んで下さいという感じじゃなかったか?」
「う~ん、まあ、俺も断言できることではないが、サークルに係わって下さってる方々が色々動いて下さってる成果が出つつあるのだと思う。
関係するメンバーへは俺からメールを入れるけど、自分のプロジェクトを持っている人は頑張って欲しいし、サブ的についてる人たちも、まじで動いて欲しい、無理をしてでもなんて普段絶対言わない様な人からの連絡だし…、もう一つ、俺たちのサークル、その発足式がゴールデンウイーク開けの土曜日に決定した。
これには市長も出席して下さる予定だそうだ。」
「おお~。」
「発足式に向けての準備会は次の土曜日…、で、永田さんからのメールの最後に…、光一、腹を括れとあった…。」

学長室は静寂に包まれる。
各自、言葉の意味、重みを考える。
しばらくの沈黙の後、口を開いたのは桐山学長だった。

「私もまだ少ししか話しは聞いてないけど、はは、わくわくしてるの…、私からも、光一君、腹を括ってがんばって。」
「は、はい。」


花ワールド-hirata
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