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まずは [ピッケとおにい 2015]

「まずは模様替えね、狭くて、ださくて、古臭くて、こんなお部屋がこの世にあること自体が罪よね。」
罪? そこまで言うか…。
「まずは壁を…、ぴゅんぴゅん!」
ピッケが手を振ると、壁がピンク基調の花柄になる。
「次はカーテン…、ぴゅんぴゅん!」
カーテンもピンク基調の花柄に。
「次は…。」
5分もしない内に部屋はピンクに染まる。
「う~ん、ちょっと足りないな~、えいっ!」
突然ピンクのくま…、ぬいぐるみが現れる。
「まずは、こんなもんかな。」
満足げに見回すピッケだったが、ふとある物体に目が行く。
「あ~これどうしよう…、それにしても不細工ね~、全部ピンクにしてみたけど…。」
忘れてはいけない、ここは…、おにいの部屋だった筈、当然その主がいても不思議ではない。
まあ、だらしない恰好でいびきをかいてはいるが…。
「あたしの僕にふさわしい姿に変えるか? う~ん…、どのバージョンがいいかな~。」
僕にふさわしい姿、というのがいささか気になる所だが、ピッケは決めかねた様で…。
今度は、ふわふわ飛びながら歌を歌い始めた。
「パッピッポッ~♪ プッピッポッ~♪ ポッポッピ~♪ パッポッピ~♪」
「う、うるさ~い。」
突然声をあげたのはおにいだ。
「うるさいってなによ!」
「あれっ? もしかしてピッケが歌ってた?」
「もちろんよ、我が王国に古くから伝わる名曲…、良い曲でしょ。」
「うっ…。」
返答につまるおにい、そりゃそうだ、基本我々が普段耳にしている歌は音階に基づいている。
半音という表現もあるが、四分の一音とかは普通使わない。
使われたとしても、まあ聴きたくもない現代音楽ぐらいではないのか。
回りくどく説明してしまったが、分かり易く言えばピッケの歌は、聴くに堪えないというレベルだった訳だ。
せっかく上がったメルヘン度がここで落ちてしまったことは否めないが仕方ない。
「さ、教えてあげるから、覚えなさい…、パッピッポッ~♪」
「パッピッポッ~♪」
ピッケについて歌うおにい。
「プッピッポッ~♪」
「プッピッポッ~♪」
ピッケの歌を微妙に修正して歌う、おにい。
「あらっ、なにげにお上手なのね。」
いや違う君が下手すぎるのだよ、ピッケ。
「い、いや~それほどでも…。」
褒められて照れるおにい、だがここで異変に気付く。
「あ、あれ~、何か部屋がピンクになってる~、あ~目が回る…、あれ~パジャマもピンク…、どうなってしまったんだ。」
日頃ピンクに縁のないおにい、完全に混乱している。
「どう? かわいくなったでしょ?」
「い、いや、何か落ち着かないんですけど…。」
「えっ? 不満でも?」
「そ、そんな訳じゃないけど…、あ~頭がクラクラする~。」
すべてにおいて、黒色、灰色の似合うおにいにとっては刺激が強すぎたようだ。
「結局は使えない僕なのかな~。」
「い、いえ…、あ、あの…。」

~~~~~~~~

おにいはピンク地獄から脱出できるのか否か?
この後の展開はどうなるのか…?
そんなこと、どうだっていいと思ってるが、仕方なく問いてみる。
個人的には早く終わって欲しいのだが…。


田丸屋本店
まめえっと

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