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ただいま~ [ピッケとおにい 2015]

バタン、ドタドタドタ。

「ただいま~。」
「ちょっと~、遅かったじゃない!」
話の流れからすれば必然的に出てくる言葉であろう。
「あ、あの、お店…、遠くて…。」
言い訳とは、常に見苦しいものである。
「すぐに、用意してよね。」
「は、はい、ただいま、って…。
お飲み物はどの様にすれば…。
えっと、このコップでいいかな?」
「そんな…、おっきなコップで、あたしを溺死させたいの?」
「め、めっそうもない。」
あせるおにい、ピッケは呆れたと言わんばかりに。
「そこのあたし専用をお使いなさい。」
と、言いながら、面倒くさそうに何もない宙を指さす。
「えっ?」
体も思考も止まる、おにい。
ピッケは、両手でだめだこりゃのポーズをしながら、人生諦めたと言わんばかりの表情で。
「まったく、使えない僕ね。」
そして、何もない空間に手を伸ばすと…。
そこから、おままごとセットサイズ、しかもかなり小さ目のティーセットを取り出した…、というか、ティーセットが魔法のごとく現れた。
「あっ、はあ~、みごとなもので。」
おにいはどうやら手品だと思ったようだ。
「さ、早くして。」
「うっ、カップが小さすぎてどうやって注げばいいのか…。」
「あなたって思考するって言葉知らないの、そのでっかい頭の中身はからっぽなの」
からっぽと言われてさすがに傷ついたのか、ない知恵を絞り出すおにい。
「そうだ、ストローを使って…。」
ストローを簡易スポイトとして利用、何とか極小ティーカップにお茶を注いだ。
「やればできるじゃない。」
褒められて、少し満足げのおにい。
「へへ、で、こんぺいとうは、このままで?」
「ばか、やっぱり馬鹿だったのね、こんな大きなのが、あたしのこの愛らしいお口に入るとでも思ったの?」
「た、たしかに…。」
「こんぺいとうはスターダストが基本と覚えておきなさい。」
「えっ?」
「はぁ~…、いいかしら、こんぺいとうはお星さまなの、はいスターダストって何?」
「えっと、確か大きな女優事務所で…。」
「な、何、訳の分かんないこと言ってるの、星屑でしょ。
誰かさんはただの屑かもしれないけど。
あたしたちの命の源、こんぺいとうは欠片をいただくのよ。
大切な欠片だからスターダストなの。」
「う~ん、分かったような…。」
「いいから早くしなさい。」
「はい。」
金平糖を砕くおにい…、たしかに、こんぺいとうの方がメルヘンっぽいかもしれない…。
「用意できました。」
「ご苦労…、ふ~、ローズティーとこんぺいとうスターダストでこれじゃ…、小さなパーティーだって開けそうにそうにないわね。」
そう言いながら極小ティーカップに口を近づけるピッケだったが…。
「な、なにこれ?
何か冷たそうだし、ローズの香りも全くしないし!
これは、な・ん・な・の!」
このブログではあまり使われることのない『・』を挟み込んで怒りを強調するピッケ。
「あっと…、TEAの筈だけど…。」
「あたしはローズティーが飲みたかったの!
ローズティーは温かいのを飲むの!
ちょっと、その飲み物の入れ物見せなさい!」
「は、はい…。」
その冷えたペットボトルにはMILK TEAと書かれていた…。
「えっ、MILK TEA?
あたしはROSE そう、R・O・S・E ROSE TEAを飲みたかったの!
もちろん温かいのをね!
当たり前だけど、こんなボトルのじゃないわ!
どうやったらROSEとMILKを間違えることができるの…。」

~~~~~~~~

懸命な読者の方々なら、この怒りの発露が、この後延々と続くであろうことはお察しいただけると思う。
このお話し、つづく、としたらピッケの怒りが収まってからだと思うが、はたして…。


花ワールド-hirata
ぷちぎふと工房 コンサルジュ

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