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六月になって [F組~省吾と美咲]

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「ねえ、省吾、高山さんたち真剣なのね。」
「ああ、プロジェクトF、高山さんには直接関係しないけど、矢野さんや早川さんたちは卒業研究を意識してのことだから、いい加減な気持ちではないと思う、美咲も協力してあげてね。」
「ふふ、もちろんよ、でも大学生の人からお願いされるなんて思ってもみなかった、そのリーダーが省吾ってことにはもっと驚かされたけど。」
「でも数学小テスト団体戦を通して、他のクラスに圧勝できたのは、美咲の力でもあるからさ。」
「ほとんど省吾の力だと思うけどな~。」
「いや、美咲とじゃなかったら、思いっきりやれなかったし、やろうとも思わなかった。」
「ふふ。
いかにしてF組が結果を出したのか。
そしてこれからの取り組みはどうなって行くのか、それと平行して進学校の生徒の意識調査…。
大学生の研究ってこんな感じなのね。」
「まあ、色々なんだけど。
教育学部と言っても、そうだな、幼児教育を考えてる人もいれば、生涯教育に取り組んでいる人、もちろん学校教育、他にもね。
そして、それぞれが幅広い分野に分かれてたりするから、同じ教育学部に所属していても、接点が少ないってこともよくあることなんだよ。」
「そっか、そうよね、幼児と大学生では全然違うからね。」
「でも、大学生も幼児期を過ごしてきてる、生まれてから大学生になるまでの環境は、当然大学生の人格とかに反映していると思わないか。」
「う~ん、ずいぶん難しいことなのね。」
「確かに難しい、幼児期の英才教育ってあるでしょ。」
「うん。」
「他の子より早く字が書けるようになったとか、九九を幼稚園で覚えたとかさ。
親ががんばり過ぎちゃうことも有るらしい。
でもね、小学校に入学してから、英才教育を受けなかった子との差はどんどんなくなっていくみたいなんだ。
もちろん個人差はあるそうなんだけど。」
「ふ~ん、ね、省吾はどうだったの?」
「はは、特別なことはしなかったって、親父は言ってるけどね。
実際には、きっかけを作ることをしたんだってさ、本の読み聞かせの合間に、字を書いてみせて、字を書くことに興味を持ったらそれを大切に、興味を持たなかったら、しばらく静観って感じでね。
一番の目的は本を好きになって、小さいころから沢山の本を読んで欲しかったって言ってた。」
「うん、結果は?」
「親父はプロなんだよ。
小さい頃から、色々な本を読んできたし。
気がついたら、小学生の内に、人に教える時のポイントなんてことまで叩き込まれていた。」
「それにしても、幼児期の英才教育なんてことにも省吾は興味を持つのね。」
「はは、実は三日ほど前に、叔父さんが来てね、その時、親父が美咲のこと口にしてさ。」
「あらま。」
「叔父さんったら、今度紹介しろだとか、結婚まで考えているのか、結婚したら子どもは何人、なんてことを聞いてきてさ、もう、まいったよ。」
「ふふ。」
「親父も母さんも調子に乗って色々話し出すし、まあそんな話しの延長みたいな感じで、生まれてから幼児期の頃の教育について色々話してくれたってことなんだ。」
「そんな話し、ちょっと早すぎない?」
「うん、でもね、そんな話しを聞きながら、美咲のこと考えてた。
美咲も、小さい頃から愛情たっぷりに育てられてきたんだろうなって。
とても大切なことなんだ。」
「そうか…、そうかも…。
ね、省吾、高校卒業したら結婚だけど、赤ちゃんはいつ頃にする?」
「えっ、美咲、早すぎない…。」
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