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F組三国志 13-5 [F組三国志 13 嶋大地]

「ねえ、今日、黒川くんと亜美ってさ。」
「うん、何か急に親密になりましたって雰囲気だったよね。
亜美の、淳一さんって呼ぶ時の表情ったら、もう、恋してますって感じでさ。」
「テストの打ち上げの時に、朋美の前で告って成立したばかりなのよね。」
「朋美もちょっとかわいそうだな。」
「うん、あこがれの哲平さんは、どうやら静さんにぞっこんみたいだし、淳一くん優しそうでいいなぁ~、なんて言ってたら、亜美に目の前で先越されて…、でも彼女はめげないわよ、きっと。
はは、性格的には林くんの方がお似合いじゃないのかしらね。」
「かも。」

「ね、嶋くんのタイプってどうなの?」
「えっ? タイプ?」
「好きな女の子のタイプ。」
「う~ん。」
「ロングかショートか?」
「えっ?」
「ロングヘアーの女の子かショートカットの女の子か、どちらがお好き?」
「えっ? そんなこと考えたことなかったけど…。
あっ、ロングヘアーの梶田さんと、ショートカットの原崎さん…。
そんなこと、ここで答えられる訳ないだろ。」
「ふふ、私のことはすみれって呼んでくれないかな、この前、ちさとも提案してたでしょ。」
「あ、ああ。」
「私のことは梨乃って。」
「あらっ、梨乃お嬢さまじゃなくてもいいの?」
「ちさとじゃないわよ。」
「ね、大地さんって呼んでもいいかな?」
「う~ん、そう呼ばれること、あまりないから、ちょっと照れくさいかも。」
「だめじゃ、ないのよね。」
「まあ…、ね。」

「あっ、母さんみたい。」
「梨乃、お食事にしましょ。」
「は~い。」

「嶋くん、今日はほんとにありがとう。」
「い、いえ、ずいぶん生意気なこと言ってしまって…。」
「はは、生意気なことを言われるだけ、私の脇が甘かったってことだよ。」
「そうよね、赤澤くんに嶋くん、高校一年生にすがらなきゃならないなんて、あなた、しっかりして下さいね。」
「ふふ、でも、母さん、省吾さまは高校一年のレベルじゃないのよ、大学生の人たちにも普通に指示出してるし。」
「学年トップだったのよね。」
「高校のテストの結果なんて彼の評価には関係ないんじゃないか、ね、嶋くん。」
「その通りです、自分たちとは、全然違う次元で物事を考えていると感じます。」
「そうなの…、嶋くん、今日工場見学してどうだった?」
「えっ、えっと…。」
「こらこら、嶋くんには今日色々教えてもらったってさっき話したろ。」
「どう、何とかなりそうかしら?」
「はい、省吾さまやチーム赤澤が動き始めましたから、後は時間との勝負ですか? 社長。」
「高山チーフからはあせってはいけないけど、のんびりしてる余裕はないって言われた。」
「そうですか。」
「でも、学生の夏休みを最大限に活用して、チーム赤澤を世に知らしめつつ、会社も再生しましょうって。」
「高山チーフも本気だ。」
「そう言えば、嶋くんのお宅も工場を経営していらっしゃるとか?」
「はい、機械部品を扱っています。」
「やはり、不況の影響って厳しいのかしら?」
「いえ、全く影響がない訳ではありませんが、父のリスク分散型経営が今のところはうまくいってるみたいです。」
「そっか…。」
「おいおい、そんな目で見るなよ。」
「はは、社長、大変ですね。」
「まあな、でもね嶋くん、娘の梨乃は優しい子だからね、母親とは似てないから安心してな。」
「と、父さん…。」
「あなた、嶋くんも困った顔なさってるでしょ。」
「はは、梨乃もぼんやりしてると、原崎さんにとられちゃうぞ。」
「も~、まだ、そんなんじゃないのに~。
ごめんね、嶋くん、すみれ。」
「う、うん。」

何やら話しが変な方向へ進んでしまった。
梨乃さんは、まだ、って言わなかったか、ということは…。
すみれさんは黙ったままだ…。
さっきは、大地さんって呼んでもいいかな? なんて言ってた。
この状況ってラッキーなのかやばいのか…。
二人のこと、良く知ってる訳じゃないし、二人とも嫌いな訳じゃない。
ロングかショートかって?
外見の問題じゃないだろ。
二人ともかわいいけど。
社長~、軽はずみな発言は控えて下さいよ~。
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