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F組三国志 13-3 [F組三国志 13 嶋大地]

「そうだね、えっと、まずストレッチフィルムのことかな。」
「えっ? 何? それ?」
「まあ…、簡単に言えば、原料や製品の輸送時に荷崩れを起こさないため固定するフィルムなんだけど、それが無造作に捨てられていてね。」
「どういうこと?」
「やはり、仁さんに教えてもらったことなんだけど、使用済みのストレッチフィルムはお金になるごみなんだ。」
「資源ごみってことかな?」
「そう、だからうちでは紙とかも剥がしてきちんと分別してる、そうしておくとリサイクル業者が引き取ってくれる単価も上がるらしい、うちはかなり忙しくて余裕がない時以外、ごみもきちんと分別して、資源ごみとして金にしてるんだ、もちろんダンボールとかもね。」
「なるほど。」
「で、もちろん工場の本業が優先だけど、いつも忙しい訳でもないから、余裕のある時に空いてるトラック使ってリサイクル業者のところへ持ち込んでいるんだ、きちんと分別して持ち込めば、それなりのお金をもらえるからね。
引き取りにきてもらうと、お金を払うことになるらしい。」
「ということはゴミの処理費用が安く済むってことなんだね。」
「ああ、で、うちの父は資源ごみを売って得たお金は全額、社員の福利厚生に当てているんだ。」
「あっ、それなら従業員のリサイクルに対する取り組み方も真面目なものになるね。」
「会社としても、ごみ処理の経費削減と福利厚生の充実ってことでプラスになっている。」
「ということは、この工場、かなり損してる?」
「鉄屑だって放置しておけばじゃまにしかならないけど、売れば金になるから。
作業工程で出る屑はリサイクルに回しているみたいだけど、それとは関係ない様な鉄屑とか結構見かけたからね。」
「嶋、ありがとう。
それから、みんなに相談、通常のリサイクルは嶋の指摘にそって改善していけると思うけど、それ以外に製造過程で出る材料の切れ端とかを使って、何か作れないか考えてもらえないかな。
それこそ、ばかげてるかも、とか、的外れかもと思うようなものでもね。
そのままでは、突飛な案でも、そこに違った案を組み合わせていくと、面白いアイディアとなる可能性もある。
原価の安い商品を増やせないかと思っていてね。」
「確かに廃棄物の置き場には、何かに使えそうな物もあったな。」
「でしょ、えっと、嶋には、もっと色々聞きたいけど、他の人の感想とかも聞いておきたい。
みんな、どうかな?」
「ここの部品って色んな形をしているんですね。」
「そうだね、すみれさん。」
「どんな形のものでも作れるんですか?」
「梶田社長、どうです?」
「ああ、平面的なものなら余程複雑でない限りどんな形のもできる、立体的なのは制約が増えるけど、それなりに作れるよ。
もっとも、うちの会社の特殊技術って訳でもないけどね。」
「じゃあ、自分でデザインしたものを金属で作ってもらうことも可能なんですか?」
「技術的には問題ないけど、一個だけだと高くつくからね。」
「梶田社長、お金を出せば作れるってことですね。」
「そうだけど。」
「大量生産ばかりが工場じゃないとも思うんです。
すみれさん、ありがとう、おぼろげに考えていたことがまとまってきたよ。」

省吾さま、何か企んでる…。
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