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F組三国志 13-2 [F組三国志 13 嶋大地]

結構敷地広いな、この工場。
広いと作業とか楽なんだろうな…。

「早川さんたちも来たから今日のメンバー揃ったね。
みんな、こちらが、梶田社長。」
「梶田です、今日は来て下さってありがとうございます。
まずは工場内を案内させていただいて、その後、会議室で感想など聞かせていただけたらと思っています。
今日は休日ですから、稼動していませんが、機械の中には不用意に触れると怪我をする危険な物もありますので、くれぐれもご注意下さい。
それでは、こちらへどうぞ。」

へ~、色んな機械があるんだ、うちの機械とはずいぶん違うなぁ~。
特殊技術、特殊な機械か、やっぱり他社と違う物を作らないと、企業間の競争に勝てないんだろうな。
省吾さまも、大学生の人たちも熱心に梶田社長の話しを聞いてる…。
あっ、特殊な機械の応用か、確かに省吾さまの質問通り、特殊だと応用が利きにくくなるってことか。
コストパフォーマンス、うん、親父もよく口にする言葉だ。
稼働率…、この機械…、動いてない時間が長いってことかな?

今度は原材料の納入から加工、製品の出荷の流れの確認か…。
ロスがないかの見直しってことかな。
はは、女の子たちに省吾さま、解説を付け加えてる。
そうだよな、俺は親の工場見てるから大体の流れは理解できるけど、美咲さまたちにはな。

えっ? ごみ置き場? 廃棄物も見学か…。
う~ん、そう言えばこの工場って、整理が行き届いてない気がする、雑然とした感じで。
はは、こんなに整理されてなかったら、仁さん、激怒だろうな。
ふ~ん、ごみの分別、普通はこんな感じなのかな…、あれっ?
ストレッチフィルムは…。

工場内の見学は終わりか…。

「みんな、ここからはみんなの感想とか聞かせてもらう時間なんだけど、梶田社長には、生意気な意見、的外れな発言が出ることを承知していただいてるからね。
みんなが思ったことを遠慮なく出してもらえたら、面白いアイデアにつながるかもしれないから。
ま、お茶とお菓子をいただきながらとしようか。」

今日は省吾さまが仕切るんだ、俺たち高校生組がいるから高山チーフは一歩下がったのかな?
え~っと、うん、ずいぶん生意気な発言になるけど…。

「おう、嶋、どうぞ、社長、嶋大地です。」
「ああ、よろしく。」
「よろしくお願いします、えっと、すごく生意気なことなんですけど…。」
「はは、その自覚があっての発言なら、私も心して受け止めるよ。」
「えっと~、やはり今は人が足りてない状態なんでしょうか?」
「そんなことはないっていうか…、むしろ、あまり気味で…、一気に社員を減らさなくはいけないのかもしれないけどね、でも、そうするときちんとした仕事を受注できなくなってしまうから、難しいところでね。」
「ということは、仕事中に手が空くこともあるのですか?」
「そうだね。」
「そんな時、社員の皆さんはどうしていらっしゃるんです?」
「休憩室でだべったりとか…。」
「掃除とか工場内の整理とかはされないのですか?」
「ああ…、そうだね…。」
「工場内の掃除、整理整頓をする時間は有るのですね?」
「うん…、ただ…、従業員の中のリーダー格が、やることやったら休憩って感じで…。」
「うちの親も小さいながら工場を経営しています。
家から近いのですが、工場は子どもの遊び場じゃないって父に言われてまして、小さい頃は、なかなか工場の中は見せてもらえませんでした。
でも、六年生になった頃、もう見学ぐらいは大丈夫だろうってことで許しが出まして。
機械が動くのを見るのが楽しかったので、それからは度々見学させてもらいに行くようになりました。
作業スケジュールに余裕のある日限定でしたが。
つまり、自分が見学させてもらえる様な日は、従業員の皆さんの手が空くことも有った訳です。
手が空くと、皆さん、暇つぶしなんだよ、とか言いながら工場内の掃除、整理整頓を始めるんです。
そんな時は、子ども心に、製造の仕事がない時ぐらいはゆっくりしたくないのかな、と思いつつも、手伝っていました。
現場の作業はさせてもらえませんから、例え掃除でも、大人のみなさんの仲間入りさせてもらえて嬉しかったんです。
作業中、従業員のみなさんから、色々な話を聞かせていただけましたし…。
そんな時、えっと、仁さんってみんなから呼ばれている現場責任者の人がですね、自分たちが働く場をきれいにすることは当たり前のことなんだって、話して下さって…。
綺麗な方が、みんな気持ち良く働けるからって、逆に整理整頓が良い届いていないと、作業効率が落ちたり、事故につながることもある、とても大切なことだからって、詳しく説明して下さいました。
例えば工場内の通路が交差する所に、物を不用意に置くと見通しが悪くなって事故の危険性が増すとか、物が通路にはみ出していると、フォークリフトがひっかけたり、人がつまづいたりするからとか。
今日工場を見学させていただいて、えっと、事故とか起こっていないのですか?」
「え~っと、はは、おはずかしい気分だ…、大きい事故は起きてないけど…、今考えると、私の至らなさが原因だったかもしれない事故は幾つか…。」
「大きい事故が起こる前に改善すべきことがかなりあるかもしれません。」
「そうかも…、指摘してくれてありがとう。
素直に頭を下げさせてもらうよ。」
「いえ、生意気言ってしまって…。」
「嶋が話してくれて助かったよ、梶田社長には耳が痛い生意気発言を話しやすくなったからね。」
「お、お願いします。」
「取引先や融資元との交渉の過程で、工場の見学って有りませんか?」
「そうだね、うちの機械を見ていただいたりとかで。」
「そんな時、取引先も金融機関の担当者も工場全体を見て値踏みをしているんです。
つまり、この工場に部品の製造を依頼をして大丈夫か、この会社に融資をして大丈夫か何てことは、特殊な機械を持ってるかどうかだけで判断している訳でないんです。
安心して取引関係を結べる会社かどうか、今日見学させていただいて、自分が取引を考える立場だったらかなり躊躇します。
自分の生意気発言は本やネットの情報が元ですが、嶋の話しは身近な体験によるもので核心をついていると思うんです。
なあ、嶋、後でこちらの本間さんと工場内の整理整頓のポイントをまとめてくれないかな。」
「おっけい。」
「社長、それを参考に工場内をきちんとしませんか?」
「ああ、了解したよ、私、自ら指示を出して…、う~ん、高校生に指摘される様な状態になってることに気付けなかった自分もはずかしいが、社員たちも何とかしないといけないな。」
「そうですね、色々検討しないといけないみたいですね。
本間さん、記録の方、そのあたりも含めてお願いします、梶田社長には失礼になるぐらい、写真もしっかり使って、ビフォアーの記録を残しておきたいですからね。」
「了解、リーダー。」

省吾さま、本気だ。
本気でこの会社を変えようとしているんだ。
そうだ、親父や仁さんにも話してみようかな。

「ねえ、嶋、他に気付いたことはないの?」
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