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五月の休日 2 [F組~省吾と美咲]

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「このマンションなんだ、躑躅が綺麗だね。」
「うん、うちのマンションが一番綺麗な時期かも。」

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「美咲のお母さんに会うの、ちょっと、どきどきするな~。」
「ふふ、大丈夫よ、母さんには省吾のこと色々話しているから。
私は母さんと一緒に食事の用意すること多いの、その時に、あは、最近は省吾の事ばかり話してたかも。」
「え~。
まあ、親子のコミュニケーションがとれてるってことか。
う~ん、なんかはずかしいけど…、それはそれで安心かな。」
「?」
「この前読んだ本にね、家庭教育の基本は親子のコミュニケーションって、まあ当たり前のこととも思えるんだけどさ、うまくいってないことも多いって。」
「そういう本も読むのね。」
「親父の専門が『教えること』だからさ。」
「ふ~ん、さあ、どうぞ。
母さん、ただいま、省吾さんをお連れしたわよ。」

「まあ、ようこそ、美咲の母です。」
「始めまして、赤澤省吾です。」
「ふふ、美咲から聞いてたけどなかなかの男前じゃない。」
「えっ、そんなことないですよ。」
「私は、軽い感じの、そうね、ジャニーズ系ってあまり好きじゃないの。」
「あっ。」
「どうしたの? 省吾。」
「美咲が、哲平のことタイプじゃないって言ってたこと思い出した。」
「はは、親子で好きな男の子のタイプは一緒なのよ。」
「今日はゆっくりしていってね。」
「はい、よろしくお願いします。」
「お飲み物は?」
「省吾さんには冷たい緑茶をお願い。」
「はいはい。」
「じゃあ、私の部屋はこっちよ。」
「うん。」

「さあ、どうぞ。」
「へ~、落ち着いた感じの部屋だね。」
「派手なのはあまり好きじゃないから。
あっ、飲み物、冷たい緑茶で良かった?」
「ああ、コーヒーとか飲まないって知ってたの?」
「カフェでもオレンジジュース頼んでたし、学校ではいつもお茶だったからさ。」
「やっぱ、美咲は最高だ、ちゃんと見てて気を配ってくれる。」
「ふふ、そりゃ私の省吾のことだもの…、へへ、私、前から省吾のこと気になってたみたい…。」
「?」
「だって、他の男の子が何飲んでるかなんて全然知らないもの。」
「はは、じゃあお昼までに数学を済ませようか。」
「うん。」

「美咲~、そろそろご飯にしない~。」
「は~い。」

「いただきます。」

「美咲、勉強はどうだった?」
「楽しかった。」
「ふふ、楽しくて頭に入ってるのかしら。」
「へへ、微妙なとこはちゃんとメモしてありますからね~。
でもね、哲平くんも言ってたけど、数学の先生より、ずっとわかり易くて、すごく難しく感じてた数学が簡単なことに思えてきたのは事実よ。」
「へ~。」
「うちの父は教えることのプロなんで、自分も小学生の頃から教える時のポイントとか、まあ親父直伝ってとこなんです。」
「そっか、それなら私も教えて欲しいな。」
「はは、母さんたら…、そうねパソコンのこととか教えてもらったらどう?」
「ほんとお願いしたいわね、最近ちょっと時間ができて使い始めたけど…、なかなかね。」
「パソコンで何をしたいかですが。」
「そうね、色々な情報を手に入れたいとは思っているけど。」
「そうすると、検索ですね、検索のコツは…、食後にでも簡単に説明させて下さい。」
「何かはずかしいわね機械オンチって。」
「別に、そんなことないですよ、父の教え子の大学生でもネットを使いこなせていない人、結構いますから。」
「あら、そう言えばお父さまは国立大学の…。」
「ええ、それなりに難しい入試をクリアしてきた人の筈なんですけどね。」
「省吾さんは大学の学生さんたちとも接してるの?」
「はい、父が人を自宅に招くことの好きな人なので。」
「じゃあ学生さんたちから色々教えてもらってる訳なのね。」
「う~ん…、確かに小学生の頃は教えてもらってたかな…。」
「じゃあ、今は?」
「一緒に討論したり…。
教授さんたちにはかわいがってもらってます。
父の大学に入るとしたら、どの学部のどのゼミにするかが問題なんです。
皆さん、うちに来いって…、自分的には既存の研究室とは違った分野にも興味があるのですが。」
「えっ? 美咲、あなたの彼氏って、とても優秀?」
「そうみたいね、うちの先生も赤澤は飛び級制度があったら、いつでも大学生になれるって言ってたわ。」
「あなた、そんな人を彼氏にして大丈夫?」
「はは、よして下さい、自分は普通の高校生ですから。」
「普通…、なの? 美咲?」
「まさか普通な訳ないでしょ、特別な人よ、私にとってね、でなかったらうちに招待しないわよ。」
「はいはい、美咲の口からお惚気話しが出るとはね~。」
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