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中山道大湫宿の大杉 [短編集-5]

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「わ~、すごくおっき~。」
「上の方が落雷にやられたり枯れたりしてるから高さはそれほどでもないけど、樹齢は千二百年とか千三百年とか言われているから、幹の太さは歴史を感じさせるだろ。」
「そうね、ず~っとここで生きてきたのね。」
「ああ、で、実は権じいの村の大杉、権じいのイメージでもあるんだ。」
「ふ~ん。」
「お話しの中では丘の上って感じの設定にしたけどね。
まあ何も語らない大杉さまに少しだけ語っていただいたってことかな。」
「そうか…、でも黙していても歴史を語ってるなぁ~。」

「ふふ、ここ大湫宿は、旧中山道美濃路の宿場だからね、中山道にまつわるビッグイベントと言えば千八百六十一年、皇女和宮の御降嫁、徳川十四代将軍家茂へのさ。
大行列がここを通り、和宮もこの宿場で一夜をすごされたらしい。」
「知ってる、島崎藤村の夜明け前にも出てくる、すごい大行列だったのよね。」
「うん、そんな行列も、この大杉は黙って見下ろしていたんだろうな。」


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