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明日へ、百年後を見据えて -7 [言いたい放題、書きかけ的]

「問題は、もちろん賃上げ分をどう補填するかだ。」
「ですね。」
「具体的に考えてみよう。
まず首相の演説を聞いて趣旨に賛同した企業は、全従業員に適正な賃金を支払うための試算を行なうこととなる。
適正賃金を決めるのは簡単じゃないかもしれないけど…、そう、この施策はインフレ誘導も目的としてるから物価上昇分も加味しなくてはいけないからね。
適正な賃金体系が決まれば、それまでの賃金との差額の計算。
これは、そんなに難しいことではないだろう。
この差額を従業員数を減らすことで穴埋め、と考えては意味がない。
製品、商品価格に上乗せということになる。」
「消費者が納得するでしょうか?」
「結局は首相の力量となるのかもしれないけど…、論拠としては、今の商品価格が販売競争に勝つために人件費を抑えて成り立っていること。
安く買えれば嬉しいかもしれないけど、その裏に好ましくない労働環境が存在するということ。
安く買えて嬉しいかもしれないけど、そのために、自分の子どもたちが、そういった魅力の乏しい環境で働くことになる、なっている現状を訴えたら…。
物価の上昇もやむを得ないと考える人も少なくないのではないかな。
今まで所得の少なかった人たちも、真面目に働けば、きちんとした給料が貰える、ということならば、少々物価が上がっても困らない訳だしね。」
「でも、問題も色々有りますよね。」
「うん、ややこしい問題が山積みだ。
まずインフレになる。
適正賃金法は、今のデフレ状態から脱却するための施策でもあるからな。
収入が増えた層は当然購買意欲も上がる。
賃金を上げるために企業は商品価格を上げざるを得ない。
動く金の量が増えれば、所得税など国の収入が増えたり、借金が実質的に減少するという面はある。
反面、行き過ぎたインフレは別のひずみをもたらすだろうな。
物価上昇と賃金上昇バランスがとれている必要があるし、物価も賃金も上がり続けてしまうのではね…。
世界経済との兼ね合いもある。
当初輸出産業は賃上げ分を輸出品に転嫁することは難しいだろう。
国際競争力という壁があるからね。
適正賃金法によってインフレが進行した場合…、円は上がるか下がるか。
つまり経済人たちがどう判断するか、全く不透明と言えるな。
日本国内で買い物をする時、百円で買えたものが百二十円になる。
でも国民一人当たりの所得は上がっている状態。
労働者の給料が上がって、国内需要が伸び国内経済に安定感を感じられる様になったら…。
ならば経済的に安定している国の通貨としての評価につながるのか?
等々、色々な思惑が交錯して…、つまり不確定要素が多すぎるということだね。

賃上げ分をどう商品価格に転嫁していくかという問題もあるな。
他社との競争原理が存在する訳だから、単純に価格を上げれば良いとはいかない。
そこで…、一つの案としては企業が商品価格の根拠を明示しての値上げ。
それと独占禁止法の見直しかな。」

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