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党本部にて~現状把握-3 [権じいの村-SPO-02]

教育に関しても様々な討論が繰り広げられたが、この部会では、その問題点を語る老人の話しが参加者に大きな影響を与えた。

「まず、何のための教育か、ということじゃな。
その根本をしっかり考えることなくなされてきた教育によって、ずいぶん損をした人もいると思うんじゃ。
まず、進学塾なんていらんわな。
学校が本来あるべき教育をしていれば進学塾なんぞで、自分の力を伸ばす機会を奪われる子も少なかったかもしれんな。
おや、君はずいぶん不満そうじゃな。」
「はい、自分は進学塾の先生にずいぶんお世話になって、今通う、名門と言われる大学まで進むことが出来たと思っていますから。」
「ほほ、そうかい、では、その塾で君は何を学んだのかい?」
「受験テクです、受験の時の問題と傾向、それに向けてどう取り組めば良いのかずいぶん教えてもらいました。」
「で? その受験テクとやらは君の能力を伸ばしたのかな?」
「は、はい…。」
「進学塾が何をしたか、一つは、考える力を伸ばし想像力を育む教科である数学を暗記科目に変えてしまった。
高校入試レベルだと、過去問に精通するだけの暗記力があれば、真の思考力を伸ばさずとも結果は出せる。
しかし、大切なことをおきざりにしてしまっての結果、ということじゃな。
そして、発見の楽しさを知る教科、理科はずいぶんつまらないものに変えられてしまった訳じゃ。

だいたい、君も含めて力の有る子達は進学塾なんぞの力を借りなくともそれなりの結果を出せる筈なんじゃ。
そうじゃな、自分なりの学習方法を確立すればの話しだがな。
有名高校へ何名合格者を出しました、なんて進学塾の宣伝を目にするが、それは、それだけの能力を持った子を沢山集めることに成功しましたってことで、ほとんどの子はその進学塾に通わなくても志望校に合格するだけの力を持っているのさ。」
「でも…。」
「まぁ、君らのように自分の望んだ大学へ進めた子たちは良い。
でも大きな問題は、人の能力は皆同じではないということ、それに気付かずに教師をやっておる馬鹿の存在だな。
努力すればなんとか出来る、なんてことが当てはまらない子だって普通にいる。
まぁ、教師になる連中は、それなりの暗記力がある訳だから、暗記力の弱い子の事情が解らないのだろうがな。
その結果、覚えられない子たちに努力しない子、だめな子のレッテルを貼ってしまう。
しかし、暗記する能力が弱かろうが、素敵な子もいくらでもいる。
義務教育を受けている頃に余計な劣等感を植え付けられなければ、もっと豊かな心を持って生きられた人も少なくないと思うがの。」

「確かに教室での劣等感から非行に走る子もいたと思います。
自分の同級生の中にも。」

「すいません、自分は今までそういった視点で考えたことがなかったので、お時間をいただけないでしょうか?」

「そうですね、このテーマはここで中断して次回までに個々で調査したり、考察してから続きということにしましょうか、特に反対がなければですが…。

特に反対の声も出ない様ですから、次のテーマ、モンスターペアレントについて…。」
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