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権じい学園にて-3 [権じいの村-SPO-01]

六月、校庭の片隅には紫陽花が。

「ねえ慶子先生はどうしてここの先生になったの?」
「そうね、大切なことをあなた達に伝えるためかな。」
「大切なこと?」
「そう、私は前に勤めていた学校ではだめ先生だったの。」
「え~、本当~?」
「ええ、出さなきゃいけない書類は何時も後回し、記録もいい加減。」
「だめじゃん。」
「でしょ、でもね、そんなことに時間使ってたら生徒たちときちんと向き合える時間がなくなってしまうと考えていたの。」
「ふ~ん。」
「その学校の校長先生は、勉強はつまらないことだけど必要なことだから…、嫌でも我慢してがんばりなさいって感じの人だったの。」
「え~、あっ、でも、そうね、私の前の学校もそんな感じだったかも…、でも、権じい学園に来てからは色々教えてもらうことが楽しいわ。」
「そう言ってくれると嬉しいわね、私達はみんなに学ぶ喜びを感じて欲しいと思っているの。」
「うん。
どうして苦手な数学をやらなきゃいけないのって、信雄先生に聞いたらきちんと応えてくれた。」
「どう、納得できた。」
「そうね、頭のトレーニングなんだって、苦手なのは変わらないけど…、自分の出来る範囲で挑戦してみてごらん、って言われたから、前ほど数学が嫌いじゃなくなったかな。」
「今まで知らなかったことに出会う、私は楽しいことだと思っているの、でもね、それがテストの為とかだったらつまらないものになってしまうわ。」
「そう言えば、省吾や啓介たちはゲーム感覚で色々な教科に取り組んでいるみたい、私とは別次元の生物ね奴らは。」
「ふふ、人それぞれよ。
真紀ちゃんは優しい心を持ってるし、あなたの絵、私は好きよ。」
「へへ、こんな山奥、最初は抵抗あったけど、今はね…。」
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