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変革-10 [権じいの村-12]

「少しずつで良いから、自分達の国を自分達の手で良くして行こう…、だったよな…。」
「どうした? 高田。」
「いや、慶次さんが総理になられてからさ、劇的な変化があった訳じゃないけど、何となく良くなってきてる気がしてさ。」
「はは、確実に良くなったさ。
慶次さんは色々な政策だけでなく、人の心に訴えるという形で、この国を良くしようとされてきたからな。
その効果は確実に出てきてると思うぞ。」
「そう思うか?」
「はは、俺もこの国を良くした一人だからな。」
「えっ?」
「慶次さんが総理になられた頃な、俺も慶次さんのお話しを聞いて思ったんだ。
確かに大きなことは俺には出来ないけど、小さなことなら出来るかもってさ。
で、仕事の途中にある古びたマンションの床に散らばるチラシを片付けたんだ。
何時行っても床にチラシが散乱してて、行くと憂鬱な気分に…、そうだな隣に住む人のことさえ知らない、自分さえ良ければ良いってことの象徴みたいでさ。」
「うん。」
「片付けはすぐ済んだけどな、そこの住人に見られて声を掛けられてしまった。
意図してなかったことだけど、ほんとは自分達がやらなければって言葉をいただいたよ。」
「そうか、そこの住人も気には掛けてたんだ。」
「でも、片付けなかった…、その背景には、面倒で自分のやることじゃないといった心理があったのかもな。
まあ、その結果か、その後、そのマンションの床にチラシが散乱ということはなくなった訳だ。」
「へ~。」
「そして俺はそこへ行って憂鬱な気分になることがなくなったし、たぶん、そこの住人にも何がしかの良い心理的効果があったと思うんだ。
チラシが散乱の自宅へ帰るのと、そうじゃないのとでは気分も違うだろ。
小さいことだけどな。」
「でも、その小さなことの積み重ねが、ってことか…。」
「この国に住む一人一人が小さなことでも、この国のためと思ってやれば、もっと住みやすい国になる。
誰に強制されるでもなく自発的ならね。」

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