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変革-5 [権じいの村-12]

「高柳市長、宵越しの金は持たねえっ! って結構好評みたいですね。」
「うん、今の規模ではどれだけの経済効果があるのか微妙だけどな。
問題点を見直しながら、いい形に持って行けないか検討中だよ。」
「でも、誰の発案なんですか?」
「はは、慶次だよ、国の経済問題は難しいみたいで、さすがの慶次も今は大きく動けないらしい、変えたくても変えれないなんてぼやいていたよ。
まあ慶次なら何とかすると思うけどね。
そんな話しをしてる時にね、要は金が回れば良いんだよな、ちょっと試してみない? なんて感じで振られてね。」
「はい。」
「何か突っ込まれたらゲームですからって、ごまかせばいいさ、なんて話した企画の概要は、周りの連中がすぐ形にして関連法案もすぐ可決されて…。」
「で、山里市で実証実験ということになった訳ですね。」
「そういうことだ、今夜、テレビのバラエティー番組でも取り上げられるから、見逃さないでな。」
「は、はい。」

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「おいら、江戸っ子だから、宵越しの金は持たねえっ!」
「って、お前、出身は北海道だろ!」
「まあ、細かいことは気にするな。」
「しかも、ケチだよな。
昨日貸した五百円ちゃんと返せよ。」
「細かいことは気にするな、細かいこと気にする奴は大物にはなれんぞ。」
「おいおい、別に大物にはなれんでもいいわ、で、今日は山里市へ来てるんだけど。」
「山里市の人達は宵越しの金なんて持たないんだよ。
細かいことは気にしないんだよ!」
「じゃあ、今日貰った金はその日の内に全部使っちゃうのか?
う~ん、そこのおじさんに訊いてみよう。
すいません、ここの人達って受け取ったお金はすぐに使っちゃうんですか。」
「はは、全部じゃないけどね。」
「どういうことなんです?」
「ちょっとしたお遊びでね。」
「遊びでお金を使っちゃうのかっ?」
「いやいや、そうでなくてね…。」

「ごめ~ん、待った~?」
「ううん、全然待ってない、アシスタントは樋口一葉にしてくれって、お願いしておいたんだけどな!」
「え~? 私、美山良子では…。」
「お前、この前、風に飛ばされて失ったって五千円のこと、まだ未練がましく思ってるのか?」
「当たり前だろ。」
「確かに、お金は大切だけどな。」

「さて、今日は山里市に来ています。
ここでは色々な実験的取り組みがなされているのですが、今日は…。」
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