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胎動-7 [権じいの村-10]

「市長も、ついに決断されたな…、加藤はどう思ってるんだ?」
「まあ、今期も、出ないつもりだったところを無理に出てもらったから任期途中でも全然問題ないと思うけどな。」
「だよな、あそこで市長が出馬してくれなかったら、怪しげな奴が無投票当選ってことになりかねなかった。」
「しかも今回は後継者をきちんと指名しての引退だから。」
「おい、まだ正式発表前だからあんまし大きな声で話すなよ。」
「ああ山田、そうだったな、なあ、お前はあの高柳という人物どう思う?」
「うん…、直接会った回数は少ないから何とも言えないけど…、俺は一票入れるつもりだ。」
「そうか…、なかなかの人物らしいけど、ここの出身ということでもないから…。」
「でもな、あの権じいの村プロジェクトの関連でこの市内を本当にくまなく回ってたそうなんだ。
だから地震の時でも迅速的確な判断が下せたし、そんな人だからセンターのリーダーを任せられたってことだぞ。」
「自分の名声を上げたいとかじゃなかったのか?」
「まさか、彼の下で活動していた学生たちと話しをしていても、よく、尊敬という言葉が出てきたぞ。」
「そうか…、う~ん、だったら俺たちも担ぐか?」
「うん。」
「対立候補はどうなんだろう?」
「大した奴は出ない気もするけどな。」
「確かにそうだ、でもさ、どうせなら市民運動みたいな感じで応援したくないか。」
「何だ、お前結構その気だったのかよ。」
「そうだな、選挙だけじゃなくてさ、市長が、自分たちの町を自分たちの手でって言ってたろ。」
「ああ。」
「なのにさ、ここんところ大学生たちが中心になって熱心にこの市のことを考えてくれているじゃないか。」
「その通りだな…、今の市長を初めて当選させた時みたいに…、俺たちも動くか?」
「うん、正式発表の前だってやっておけることは色々あると思うぞ。」
「だな。」
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