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胎動-6 [権じいの村-10]

「真一、市長が決断を下された、来週にも引退を表明される。」
「ということはお体の方が…?」
「いや、そうではない高柳さんのバックアップを元気な内にしっかりやりたいということなんだ。」
「そうですか、早まるのですか…。」
「何か問題があるのか?」
「う~ん、すでに僕たちの動きは…、震災復興の方はどうなんでしょう?」
「高柳さんが言うには、吉田くんに任せても大丈夫って。」
「何にしても選挙対策のプロジェクトを立ち上げないといけませんよね。」
「まあな、でも…、強力な対立候補は出てくるだろうか。」
「確かにそうですけど、やはりよそ者の弱みってないですかね。」
「高柳さんのことをそう見る人はもうずいぶん減っていると思うけどな。」
「そうでしょうけど、市長が決断を下されたのに高柳さんが落選なんてことになったら、絶対嫌ですから。」
「確かにその通りだ…、市長の正式表明までは表立った言動は控えなくてはいけないけど、裏では信頼できる人間中心に会議を開いて行こう。
ちょうど俺も地震の後から大学での講演を中断している所だから、選挙に向けて力一杯動ける。
絶対高柳さんを当選させようぜ。」
「このことは今どれぐらいの人が知っているのですか?」
「まだ、少ないけど…、よし名簿を作って…、真帆、久美ちゃん、吉田くんとかと準備会議を開くか?」
「学生からも何人か呼びますか…、そうだ、タイミング的には選挙の頃は丁度学生たちの春休みになりませんか?」
「そうだな…、でも初動で動けて選挙当日までってメンバーを中心にしたいけど。
初動は我々にとって大きいんだ、対立候補が出た時にさ、準備期間でずいぶん差をつけられるだろ。」
「そうですね…学園の先生にも声をかけてみましょうか、早めに今までの学校を退職されて開校に向けての作業をのんびりやっておられる方もみえましてね。」
「そういった人選を、今夜やろう、まずは主要メンバーだけでさ。
小春ばあちゃんちでいいよな。」
「解りました、久美と吉田さんには僕が伝えておきます。」
「うん、高柳さんと真帆には俺から連絡を入れておくよ。
そうだ、真一も今持ってる仕事、他へ任せられたら任せていく方向にできないかな、どうしても自分でやりたいこと以外はさ。」
「心得ていますよ、僕も久美もメインの仕事は慶次さんの秘書って感覚でいますから。」
「すまないな。」
「今更、何を言ってるんです、俺たちの慶次さん。」
「はは、あんましプレッシャーをかけるなよ。」
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