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胎動-2 [権じいの村-10]

「復興計画もずいぶん出揃った感じですね。」
「ああ、やれることはどんどん実行に移しているけどな。」
「高柳さん、計画でも先を見越したものが結構出ましたね。」
「うん、ボランティアが集まりやすい今、やっておけることはやっておこうという考えに学生たちも乗ってくれたんだよ。」
「そうですね、さっきも学生に聞いたんですけどね、学生たちの休み期間になったらすごいことになりそうですよ。」
「うん、この市の人口が一気に増えそうだな、吉田くんも色々頼むよ。」
「はい、宿泊の調整とか大変そうですけどね。」
「そうだな、でも、そのことだけでもこの地が潤うことに繋がるからね。
遠方の大学からも来てくれるみたいなんだよ。」
「それにしても、俺、今時の学生ってこんなにも真面目だとは思ってもいませんでしたよ。」
「はは、昔に比べれば真面目な学生の率は減ってるかもな、でも、とにかく参加大学が多いからね。
震災前まで慶次さんが各地の大学で講演してきた結果だよ。
何千人かいる一つの大学から十人だけの参加でも、十の大学からの参加となれば百人になる訳だろ。」
「そっか。」
「それとね、やはり私達がやってることは夢プロジェクトなんだよ、ここの復興だけが目的じゃないからね。
社会の景気が悪い今…、そうそう就職内定取り消された学生からも参加の希望が来てるよ。」
「俺がここに来た頃はまだ景気がそれほど悪くもなかったけど…、今はひどいですからね。
移住希望者も増えてきてますよ。」

「とにかくこれからが私たちの正念場だな。」
「ですね。」
「力いっぱいやって、十年二十年先でも、地方再生の成功例と言ってもらえるようにしたいよな。」
「うん、俺もがんばります。」
「じゃあ会議に行くか。」
「はい。」
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