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地震-9 [権じいの村-9]

「吉田くん、今回の地震では、君たちに本当に助けられたよ。
本来なら、我々市の職員がしなくてはいけないようなことまで学生中心にボランティアがやってくれたからね。」
「花井さんこそ、ずいぶんがんばったじゃないですか。
この市も合併の関係で職員の絶対数が減ってますし。
大地震なんて経験、市の職員だからと言ってある訳でもないでしようから。」
「二度と経験したくないよ、人的被害が少なかったとはいえ、これからの復興のこともあるからな。
それにしても…、高柳さん中心にボランティアの指揮系統がしっかりしてたから安心して任せられたよ。」
「今まで、この市の全体を見て来たとは言え、高柳さんの判断は迅速的確でした…。
あんな人が職も無く、山村体験に参加してたなんて…、人生色々なんですかね。」
「ほんとにそうだ、白川先生も動いて下さったけど、あくまで高柳さんの判断で動くと貫いておられたから…、改めてすごい人たちだと思ったよ。」
「本当なら慶次さんの判断で動いて良いようなことも、指揮系統に混乱を起させないためと…。
それを徹底して実行するところが慶次さんらしいところです。」
「だね…、問題はこれからの復興だけど…、予算の関係もあるからな…。」
「花井さん、学生たちから、復興について考えてみたいという声が上がっているのですが、すでに彼らなりの案も出始めていていまして。」
「そうか、それは心強いな、良かったら合同会議を開きたいけど…、市の職員には私から話しておくからどうだろう。」
「はい、では、学生たちへは俺から伝えておきます、また連絡を取り合いましょう。
後、ボランティア活動の方も落ち着いてきましたから、一度被害全体の把握をしたいって高柳さんが言ってみえたのですが。」
「そうだね、我々もボランティアセンターとコンタクトを取ってきたけど、さすがに落ち着いてとは行かなかったからね。」
「はい、学生たちも、今までは余裕がなくて出来なかったレベルの調査を始めたところです。
結果が出始めたら随時報告していきますが、役所の側で得た情報も問題のないレベルののことは教えていただけたらと…。」
「そうだな問題のある情報なんてそんなにないと思うが…。
それにしても、こんな寒い中、大勢の若者がこの市のために動いてくれていると思うと…。」
「はは、学生たち結構楽しんでやってますよ。
都会で生まれ育った連中から、ここは俺の故郷だ~、なんて言葉も聞いていますし。」
「うん…、そんな奴には…、今度いっぱいおごってやるかな。」
「はは、全員におごったら大変な額になりますよ。」
「そ、そうか…。」
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