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地震-6 [権じいの村-9]

「おばあちゃん、手伝いに来ましたよ。」
「ああ、もう来て下さったか…。」
「はい、被害調査班から最優先って指示が有りましたから。」
「ひどい有様じゃろ。」
「大変でしたね。」
「わしゃ、長いこと生きてきたがの、こんな大きな地震は初めてじゃ、恐ろしゅうてな…。」
「僕らもびっくりでした…、まずは割れた物から片付けていきますけど…、想い出の品とか有りましたら…。」
「そうじゃな…、そこら辺のは全部ゴミじゃ、でもな、そこの割れてしまった置物はじいさんが大切にしておったものじゃから…。」
「はい、では破片も極力残します。」
「すまんのう。」

「おばあちゃん、余震に備えてこの箪笥とか壁に固定とかしてもいいですか?」
「うん、お願いできるかね。」
「はい。
しばらくは落ち着けないかもしれませんから、もし不安があれば避難所を利用して下さい。
中学校の体育館の中に個室も作りましたから、数に限りが有りますけど…。」
「個室?」
「体育館って広くて落ち着かないじゃありませんか。
学生が大規模災害時の避難用に開発した、ダンボール製の簡易個室があるんです。
貧乏くさいと言われてしまうとその通りなんですけど…。」
「貧乏くさくてもここより、ましなら…。」
「じゃあ一緒に中学校へ行ってみますか?」
「うん、色々すまんのう。」
「貴重品は必ず持って下さいね。」
「そうじゃな、ちょっと待っててくださらんかね。」
「はい、お待ちしている間に作業を始めます。」
「すまんのう。」
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