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それぞれの夏-8 [権じいの村-7]

「吉田さん、市役所なんて始めてで少し緊張してます。」
「山田、心配することないぞ、俺の知り合いも多いから肩の力を抜けよ。」
「はい。」

「ここだよ。
花井さんこんにちは。」
「おお、吉田くん待ってたよ。」
「彼が山田です。」
「よろしくお願いします。」
「こちらこそ、資料は用意しておいたからね。」
「有難うございます。」
「学生さんたちの方はどう?」
「はい、やはり観光中心に考えています。
何度も行きたくなる観光地作りの案がすでに色々出てますから、頂いた資料を元に、具体的な形にしてお見せしようと思ってます。」
「それは楽しみだな。
すでに、第二の故郷キャンペーンは学生さんたちのおかげでずいぶん盛り上がっているからね。」
「数字に出てますか?」
「ああ、具体的な数字ではないけど、学生さんたちが実験、研究、実習でここに来てくれてるだけでも、ずいぶんの人数になるし、体験実習の後で家族と遊びに来るというケースも結構あるでしょ。」
「ええ、実習で自分たちが綺麗にした林を家族に見せたい、とか、俺たちの挑戦を家族にも知ってもらうとか。」
「それにあちこちのキャンプ場を、子ども向けの教育キャンプとかにも使ってくれたからね。
帰る時にまた来たいって言ってた子が、親と一緒に遊びに来てくれたって話も聞いているよ。」

「問題とかは起こってませんか?」
「そうだね、駐車場が不足気味かな。
それと休日の交通渋滞。」
「はい、聞いてます、そちらの方は僕たちとは別のグループが検討しています。
案ができたら…、吉田さん、それも花井さんを通せばいいのですか?」
「そうだな…、まずは花井さんでいいですよね?」
「うん、構わないよ。
そういうことなら、学生さんと職員との合同会議を開きたいね、観光についてとは別でね。」
「はい、そう伝えておきます。」
「早いほうがいいでしょ?」
「ええ、夏休み中が一番動き易いですから。」
「じゃあ日程の調整に関してはまた連絡するよ。」
「お願いします。」

「市長からはね、君たちのことは最優先で対応するように言われているからね。」
「えっ、そうなんですか。」
「市長も白川先生や高柳さんに惚れ込んでいるからね。」
「実際、すごい人たちです。
白川先生、スケールの大きな人なのに、すごく気さくで、僕らは尊敬の念を込めて慶次さんと呼ばさせていただいてます。」
「そうだね、初めてお会いした時も、多くの大学関係者を動かした人って聞いてたから…、どんな人が来るのかと思ってた。
実際にお会いしたら、若い先生でびっくりしたよ。
そうそう、この前ね、先生と高柳さんが二人でお見えになった時、市長自ら市長の仕事についてお二人に説明なさってたそうでね。」
「ははは、俺も後で聞きました。
慶次さんたら、高柳さんに、市長やる? なんて聞いてたんですよ。」
「う~ん、市長もお歳だし健康面の心配もあるそうで…、有り得ない話しじゃないな…。」

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