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それぞれの夏-5 [権じいの村-7]

「調子はどうです、西川店長?」
「あっ、高柳さん、いらっしゃい。
今のところ大きなトラブルもなく順調ですよ。」
「仕入れの方はどんな感じになってます?」
「高柳さんが紹介して下さったこともあって、近隣の村からの量も増えています。
二号店ができればその近辺からも野菜が集まるとは思っているのですが…。」
「何か問題があるのですか?」
「高柳さんもご存知でしょ、野菜を中心にした流通実験。」
「流通経路の簡略化ですね。」
「はい、その関係で、無農薬野菜中心に量をもっと増やして欲しいって。」
「それには農家の方との色々な交渉が必要になりそうですね。」
「すでに、無農薬野菜の宅配とかやってる業者と契約を結んでいる人も結構いましてね…、うちは形が悪くてもっ、てのが売りだから、そんな農家からも買い付けていますけど。」
「そうですか、最近は市内全域を回っていますが、あちこちで放置された畑を目にするんです。
そんな畑をうまく生かせないか学生たちとも相談しているのですが…、ちょっと行動を早めることにします。」
「お願いします。」
「そうですね、吉田くんにも動いてもらいましょうか。」
「吉田はどうですか?」
「今は私の秘書的な立場で色々動いてくれてます。」
「あいつなりに色々考えてるんでしょうね。」
「はい。」

「高柳さん、市会議員の方はどうなんです?」
「正直言って自分だけなら、まず大丈夫です、権じいの村プロジェクトも市民から概ね好意的に受け取られていますし、
引退を考えている議員さんからの後押しもいただけそうで、ただ…。」
「ただ?」
「西川さんにはお話ししてなかったことなんですが、慶次さんからは市長選を視野に入れて動いて欲しいと言われてまして。」
「それで、市内全域を。」
「はい、自分にそれだけの力があるかどうか、まだ自分でも分かりませんけど…、私がだめでも…、慶次さんが市長、県知事、それからって気になった時にお役に立てる人間になりたいと思っています。」
「高柳さんなら大丈夫ですよ。」
「はは…、とにかくプロジェクト関連で複数の議員を市議会にと考えています。
平行して、現役の市議さんたちとの連携も考えて動いているのですが…。」
「簡単には行かないってことですか。」
「まあ、色々な人がいますからね。」
「どこかの政党に所属したりとかは?」
「私たちは特定の政党、宗教団体とは一線を画して活動しています。
地方自治を考える時は、特定の団体に属さない方が動きやすいと思いますし、今の政党に魅力を感じてませんから。」
「ですな。」
「政党に所属する時、それは我々の政党が誕生した時と考えてます。」
「うん、そうですか…、それにしても、こんな、ど田舎のちっぽけな村で…、こんなにも、どでかい志に…、自分も関係できるなんて思ってもいなかったですよ。」



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