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山村体験-10 [権じいの村-5]

「高柳さん、俺、思うんです。」
「うん、何を?」
「ここへ来る前、俺、ここよりうんと便利で楽な生活をしてた筈なんです、都会で。
でも、貧乏で余裕がなくてさ、現実逃避してたっていうか現実逃避するしかなかったんですよ。」
「わかるよ、私も夢のない生活をしてたからね。」
「ここはすごく居心地がいいです、山奥の村なんてすごく不便だと思ってましたけど。
実際不便なことがあっても、慶次さんたちに守られて生活していて、すごく気持ちが楽になりました。」
「だな。」
「でも、ここは特別な村じゃないですか。」
「その通りだ、慶次さんに言わせれば裏技だからね。」
「高柳さんたちと始めた、過疎の村体験は本当の意味ではできていないと思うんです。」
「ああ、吉田くんの言う通りだと思うよ。
私は慶次さんからの提案を受け入れて、この周辺の村を周っているけどね、本当に人が少ないんだ。
この村の昼間人口を考えたら、すでにここは過疎の村と呼べないな。」
「俺、この村を出て他の村も体験しなきゃだめじゃないかと…。」
「うん、いい考えだ。」
「でも、どうやってどこへ行けばいいのか…。」
「はは、どうかな…、私と一緒に、しばらくここの周辺の村を周ってみないか。
気のあった方のお宅に泊めてもらったりできるかもしれないよ。
まずは私が仲良くなった人たちを紹介するかな。
でもな、無理はするなよ、私たちの家はここにあるのだからな。」
「はい。」




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